1990年代にインディー団体ながらも一世を風靡したFMWと、圧倒的カリスマ性を持つ大仁田厚の出現により急速にプロレス界に広まった電流爆破マッチ。
その爆発による視覚的効果と音響効果は、見る者に絶大なインパクトを与え大仁田の人気と共に、一般層にも響くプロレス界でも有数の知名度を誇るデスマッチとなりました。
FMW旗揚げ後の大仁田の代名詞でもある電流爆破ですが一般的な知名度とは裏腹に、一昔前はプロレスの本流である新日本や全日本からは、奇抜なデスマッチは敬遠される傾向にあり、メジャー団体と電流爆破は交わる事はありませんでした。
肉体ひとつで闘うのが、プロレスラー
その信念を強く持っている選手が多く、デスマッチで名を売ってきた大仁田個人も敬遠されがちな時代も確かにありました。
しかし時代は変わりました。
長州力、天龍源一郎、グレート・ムタ、橋本真也、蝶野正洋
単発とはいえ、メジャーを代表する錚々たる顔ぶれも 電流爆破デスマッチのリングに足を踏み入れる様になり、今やメジャー団体のリングや メジャー出身の選手がデスマッチを行う事も珍しくなくなった現在でも、今なおそんな考えを持ち 自分の信念を貫こうとするレスラーも中には居ます。
そんなレスラーの一人が、秋山準
旧・全日本の四天王時代の選手達は、大仁田とは絡む事すら無かったこともあり、デスマッチとは無縁のひたすら肉体を激しくぶつけ合うプロレスのイメージが強く残っています。
その時代を生きてきた秋山も当然そうです。
秋山の現在の所属団体であるDDTに参戦した際に、大仁田は秋山に狙いを定めた訳ですが、実績、知名度、実力、そしてデスマッチ未経験の秋山とあれば、話題性も抜群なので、大仁田がそこに目を付けるのは必然的だったのでしょう。
大仁田はDDTに参戦するや、当然の様に再三に渡り秋山に電流爆破での対戦要求をするも 秋山も当然の様にこれを断固として拒否。
電流爆破を求めるのは、大仁田の生き様その物であり、それを拒否するのは秋山のプライド
どちらが正しいとかそういう話ではなく、お互いが自分の信念をぶつけ合った結果なので、これは実現はなかなか難しいんじゃ・・・
そう思っていましたが、事態は急展開を迎える事になります。
秋山が若手を指導しているDDT道場に、何と報道陣を引き連れて乗り込んできた大仁田が、いきなりの「秋山さんよ、やれよ！」と対戦要求。
しかし当然ながら秋山は、これを拒否。
結局は今までと同じやりとりに終わっただけかと思われましたが、今回は大仁田には策がありました。
大仁田は、その場にいた高木三四郎社長に対して「お前が秋山を電流爆破に上げるって言ったんだろ？ あんたが約束したじゃないか！」と激しい口調で問い詰めた為に、道場には緊張が走ります。
高木社長は「何すか、これ？ マスコミを連れてきて。これが大仁田厚のやり方ですか？ 俺がやりますよ。秋山さんは『やらない』と言っている。代わりに自分が出る」と不快感を示しながら、自らが大仁田と闘う事で、その場を収めようとしましたが、これで簡単に納得しないのが大仁田厚。
その後も高木社長に食い下がる大仁田のしつこさに、見かねた秋山はついに「じゃあ、いいですよ！ やりますよ！ 高木さんは怪我してるんだから。社長がやれって言うならやりますよ」とここにきて対戦受託。
９．９日東京・大田区総合体育館大会で、大仁田、ヨシ・タツ、小嶋斗偉組 vs 秋山、高木、岡田佑介組の電流爆破での対戦が決定してしまいました。
う～ん
秋山の電流爆破は観たい気もしますが、最後まで自分の信念を貫いてほしかった気もしますが、高木社長に迷惑がかかってしまっていたので義理固い秋山としては、自分の信念なんかよりも高木社長への義理を取ったんでしょうね。
これは秋山らしくて、カッコイイと思います。
「高木選手に強く言えば、絶対に秋山選手はイエスと言うと思ったから。だから強く言ったんだ。電流爆破マッチのリングに上がらないと言うレスラーを上げるのが、俺の宿命。あいつがやると言ったんだから、男に二言はないだろ。これで決まりじゃ！」
しかし この発言からも分かる様に、秋山を引っ張り出す為に、大仁田はわざと高木社長に突っかかったと言う事･･･うん。これはズルい！
大仁田からすれば、遂に秋山を引っ張り出す事に成功して、正にしてやったりなんでしょうが、マスコミを連れて来て対戦を断り難い状況を作りつつ 社長に突っかかって更に断り難い状況を作るとは･･･やっぱり このやり方はズルい！
策士と言えばそうかも知れませんが、秋山の義理固い性格に付け込む様で、このやり方は本当に好きではありませんが、過程はどうあれ秋山準を電流爆破に引きずり込んだというだけで、有る意味 大仁田厚の勝利とも言えます。
確かにズルいやり方ではありますが、これが大仁田のやり方なのだから、まぁ大仁田の方が一枚上手だったと言う事でしょうか・・・
もちろんリングの上では、そう簡単にいかないと思います。
電流爆破のリングで鬼の秋山が顔をのぞかせ、この日のリベンジを果たすべく大仁田を制裁するのか？
デスマッチでは一日の長がある大仁田が、大仁田流のやり方でリング上でも秋山を蹂躙するのか？？
この異色の夢対決は、電流爆破という特殊な空間で、果たしてどんな結末を迎えるのか！？