8月27日 新日本プロレスの後楽園ホール大会
今年2月に大胸筋断裂の重傷を負い 約半年に及ぶ長期欠場を続けていた高橋ヒロムが、ようやく新日本プロレスのリングに帰って来ました。
怪我をした当時のヒロムは、IWGPJr.ヘビー級王者
それを欠場の為とは言え、返上と言う形を取らざるを得なかったのは、さぞかし悔しかったでしょう。 前回の長期欠場の際にも王座返上をしてしまっているので、立て続けに同じパターンを2回もやってしまっては、流石に観ているファンからすれば心配だったと思います。
自分の身体を顧みないファイトをしているのだから、大怪我を負うのも当然と言えば当然なのかも知れませんが、あの破天荒な全力ファイトがヒロムの真骨頂。
観ている物の心配をよそに、ヒロムに悲壮感や後悔は一切ありません。
もしかしたら内心 焦りは有ったかも知れませんが、少なくともそれを表に出す事は余り無く、ヒロムはどこまでいってもスーパーポジティブでした。
時折 大好評の前節をしたり、解説席に座ったりして元気な姿を見せてくれましたが、そんな姿を見せる事で、ファンのの心配を吹き飛ばしていたのだと思います。
かくして高橋ヒロムは、半年ぶりに新日Jr.の闘いに帰って来ました。
復帰戦はメインイベント
対戦相手は、ヒロム自ら指名したDOUKI。
ヒロムとDOUKIと言えば、これまでリング上ではこれと言った接点は余り有りませんでしたが、ヒロムの海外修業中に行動を供した事がある間柄。
2人の間には、ファンが思っている以上に色々と複雑な感情が渦巻いていると思います。
少なくとも新日本のリングで言えば、ヒロムの方が圧倒的に人気でも実績でも格上なのは明白。
しかしDOUKIとて 指名されてメインに出るからと言って只黙々と仕事をする訳ではありません。これはDOUKIにとっても大チャンスです。
「俺を指名してくれたのは嬉しい。ただお前にとって俺は只のリハビリ相手か? シングルでも何でもやってやる。そのかわり勝ったら俺がロビーに挑戦していいんだよな」
このコメントを見る限り 今まで休んでいたヒロムの引き立て役になる気などサラサラ無く ヒロムを食って一気に挑戦権まで奪って 新日Jr.の主役にまで登りつめる気マンマンです。
レスラーが大きい事を言うのは当たり前ですが、こうして野心をムキ出しにしてくれると観ている人間にもテーマが伝わり易いし、感情移入もしやすいのでプロレスの試合を盛り上げる要素としては、大事な事ですよね。
そうして迎えた復帰戦。
予想以上の凄まじい試合となりました。
何だかんだ言った所で、ヒロムの勝利はカタイなと思っていましたが、DOUKIが予想外の大奮戦。何度も「あわや!」の場面を作り出します。
いや・・・予想外のといっては、DOUKIに失礼でしょうか
これまでの試合を観ていて分かっていた事ですが、プロレスの巧さや技術の高さは周知の事実だったので、あくまで今までは機会に恵まれなかっただけで、DOUKIには元々それだけのポテンシャルが備わっていたと言う事でしょう。
29分43秒 残り時間17秒にして最後は、切り返し合戦を制したヒロムが、奥の手TIME BOMBⅡで粘るDOUKIを振り切り 熱戦にようやく終止符。
凄まじい闘いでした。
「これでもリハビリ相手としてオマエを選んだと思うか? オマエは俺にとって唯一、初心に返らせてくれる男なんだよ。高橋ヒロムという名の男が、メキシコで誕生した時、オマエはいつも横にいてくれてただろ? 新しいスタートを切らせてくれて、ありがとよ」
試合後のヒロムのこの言葉をリング下で聞いていたDOUKIの悔しがる姿が印象的でしたが、それと同時にそのDOUKIを認め称えるヒロムの姿が、今後の2人のストーリーを物語っている様です。
試合後には、王者ロビー・イーグルスが現れ ヒロムとベルトさんの会話シーンは、ややグダグダ感があった物の「2度の欠場・返上を繰り返した事でクビになるのも覚悟した」と言うヒロムが、余り表に出さない本音もチラリ。
今回の復帰戦は、単なるヒロムの復帰第一戦と言うだけでなく 今まで見えなかったヒロムやDOUKIの一面も見れたし 今後の新日Jr.の闘いに大きな影響を及ぼしそうです。
長期欠場明けで、動きも全く落ちていなかったヒロムには脱帽ですが、あれだけの戦いを見せたDOUKIにも驚かされました。
たった一人で、異国の地メキシコのリングで生き抜いて来た男の意地が見えたと思います。
今後DOUKIは、間違い無く上がって来ます。
恐らくIWGPJr.の懸った試合で、ヒロムの対角線に立つ事もそう遠くない未来だと予感させる・・・そんな試合でした。