寡黙なSANADAの自己主張

ついに引退ロードを開始した武藤敬司ですが、武藤ほどプロレス界に多くの物を残した選手ならば、その引退ロードに何らかの形で関わりたいと思っている選手は多い筈。

真っ先に名乗りを挙げた清宮海斗は、既に対戦を実現させ、初の武藤越えを達成しています。

 

かつての弟子である新日本プロレスの棚橋弘至も 2009年に一度は武藤からバトンを渡されてはいますが、それでも最後に武藤ともう一度闘いたいと名乗りを挙げています。

他団体の選手だけに、こういったケースではどうなるか今後の事は一切分からないですが、どれでも最後だからこそ”武藤敬司を感じたい”選手は、少なくとも口にしなければ武藤との対戦は、実現しないでしょう。 

 

そんな中で、新たに武藤の名前を口にしたのは、何とSANADA。

SANADAと言えば現在は袂を別ったとはいえ、かつては師弟関係であり、全日本プロレスからW-1と武藤と行動を共にして、満身創痍の両膝で闘い続けた武藤の姿を 真近で見て来た一人です。

「武藤敬司、俺もやりたいんですけど」

普段は寡黙で自己主張をしないSANADAが、かつての師匠とは言え他団体の選手と闘いたいと言う自己主張をすると言う事は今まで無かった事なので、SANADAの中で今 武藤敬司はそれ程までに闘いたい相手なのでしょうね。

 

これまで全日本、W-1と同じ団体に居ながらSANADAは、一度も武藤に勝った事がありません。

SANADAが武藤に勝つかも・・・と最も機運が高まったのは、2014年に武藤がW-1王者に輝いていた際に「誰が武藤から王座を奪取するのか??」と関心が集まっていた時期で、満を持して団体のホープの一人だったSANADA(当時・真田聖也)が挑戦するも 惜しくも徹底した足攻めからの足4の字固めにギブアップ負けを喫しています。

これが両者の最後の対決になっており、それぞれが違う団体所属になった以上は、両者の対戦は難しい事も有りSANADAの”武藤越え”はもう無いだろう・・・そう思っていました。

 

しかしここに来てまさかの挑戦表明。

武藤の引退ロードという限られた残り少ない僅かな時間に、対戦する事のできる選手は必然的にかなり限られてきます。

 

その状況で引退ロードに名を連ねるには、武藤の希望というのも有るかもしれませんが、やはり所属団体であるノア的にも興行として”美味しい相手”にオファーをかけたいと言う部分は、間違い無く有る筈です。

棚橋程の”格”をもった選手ならば、他団体といえども、新日本とノアの交渉次第では実現の可能性もありますが、正直な所 SANADAだとどうでしょうか・・・

SANADAの格が低いと言う訳では無いし、師弟関係という事実は確かにありますが、この両者の関係に思い入れの無い人からすれば、武藤vsSANADAは、カード的に若干弱いかも知れません。

 

そこでSANADAが最も発言力を増す一番の方法は、現在出場しているG1クライマックスに優勝する事。

これ以外にないでしょう。

カード的に思い入れの無い人達からしても、新日本のG1覇者となればまた話も変わってくるし、SANADAの発言力も増し、武藤戦に向けて近づくのは確実です。

 

限られた試合数の中で、武藤の相手として新日本から数人がエントリーされるとは少し考え難いので、現状だとSANADAよりは棚橋の方が近い位置に居るとは思います。

なので その現状をひっくり返すには、やはりG1優勝!

条件的には厳しいですが、SANADAには最後に武藤越えを果たして貰いたい気持ちは確かに有るんですけど、G1は棚橋に優勝して欲しいという何とも言えぬ複雑な気分・・・

 

SANADAは自分をプロレスラーに導いてくれた武藤には、感謝しつつも「正直、膝が使い物にならないのに、まだメインイベントに出てるんですよ。俺達からしたら未来がないですよね」と世代交代を胸に期しています。

更にSANADAは「未来の事を考えたら、武藤敬司を追い出す人間が必要なんじゃないですかね。そして武藤敬司を追い出す人間は俺しかいないでしょう」と語りますが、確かに50代の選手が選手が第一線でバリバリやっているのは、若い人間からすれば立場が無いかも知れません。

 

しかし「俺しかいないでしょう」と言う部分には、引っ掛かる選手もいるでしょうね。

 

その辺を含めて、武藤の介錯人を務めるのは誰になるのか?

武藤戦を胸に期すSANADAのG1での闘いぶりはどうなるのか??

 

武藤の引退は、所属のノアのみならず色々な所でも波紋を呼びそうです。