ノアのJr.戦士として活躍していた頃のKENTAと言えば、今の様なヒールとなる前なので、悪いことなど一切せずに、持ち前の気の強さとキックや張り手の激しい打撃がウリの プロレス界でも有数のハードヒッターでした。
そのバチバチファイトが、当時のKENTAの人気っぷりの理由の一つだったのですが、そのファイトスタイル故に、弊害も有りました。
当時のノアでは階級を超越した闘いをする事も多く、KENTAや丸藤正道も Jr.ヘビー級に属しながらヘビー級と闘う事も日常茶飯事。
KENTAの最大のライバルである丸藤は、その変則的なスタイルや 各種丸め込みを駆使してヘビー級とも互角に渡り合いGHCヘビー級を奪取する等 充分過ぎる実績を残していましたが、一方のKENTAはその馬鹿正直なまでの真っ直ぐなスタイル故に、ヘビー級を相手にしてはこれと言った結果を残す事が、なかなか出来ないでいました。
それもその筈
KENTAの様なバチバチの真っ向勝負をする選手は、ヘビー級に比べて体格的に劣る分だけ 圧倒的に不利になるのは誰の目にも明らかな事だったので、KENTAがヘビー級を相手に勝てないのはしょうがない事・・・そう思っていました。
しかし2011年
KENTAは、ノー・マーシーを結成して、ヘビー級との闘いに より深く入っていく事になるのですが、ユニットを率いる立場である以上は、求められるのは善戦ではなく勝利。
その中でKENTAは自分の立ち位置を確保する為に、グローバルリーグ戦に向けて激しい打撃はそのままに、新兵器を投入します。
それがGAME OVER
オモプラッタの要領で両足で腕を絡めておき、サイドから両腕で顔面をロックし後方に反りあげながら絞めあげる複合技で、変形のクロスフェイス。
それまで バチバチの打撃技メインでやってきたKENTAが、関節技を必殺技に加えたのは少々意外でしたが、体格差に関係なく極めれるGAME OVERは、実に効果的でした。
これだけでも強烈な技でヘビー級相手にも充分にギブアップを奪える技なのですが、これがあるからこそ攻撃にも幅が出るし 得意への打撃へと繋ぐ事で勝率もグンとあがります。
実際にGAME OVERを使用する様になってからの 対ヘビー級のKENTAの勝率は格段に上がり 体格差で劣勢を強いられる事があっても GAME OVERで逆転勝利する事も少なくなく、グローバルリーグ準優勝の好成績を残しています。
その翌年2012年に、本格的にヘビー級戦線に主戦場を移したKENTAは、遂にグローバルリーグ優勝を果たし、更に2013年には団体最高峰のGHCヘビー級奪取と・・・堂々のトップに立つ事に成功。
これは間違いなくGAME OVERが、大きく貢献しています。
得意のgo2sleepだけでは、スーパーヘビー級の森嶋猛や外国人選手を倒すのは、なかなか至難の技なので、そういった相手には体力差に関係無く極めれるGAME OVERで勝利する事が多かったので、KENTAのヘビー級戦線での躍進と GAME OVERは、無関係とは言えないでしょう。
トップ選手には関節技や絞め技は、一つは絶対に有った方が良いと個人的には思っているので、KENTAのGAME OVER習得は、本当に良いチョイスだったと思います。
生まれ持った身体の大きさは、横幅を増やす以外にはどうにもならない事なので、Jr.ヘビー級の身体でヘビー級としてやっていくには、技術に磨きをかけるしかありません。
最初は違和感こそありましたが、そこで選んだGAME OVERという選択肢は、結果的に大成功でしたね。
最も今のKENTAは、得意の打撃だけでもヘビー級とも渡り合えているんですけどね。