天龍源一郎「お前ら、いつかこいつに飯食わせてもらう時が来るぞ」

プロレスの試合と練習は、切っても切り離せないものですが、一昔前のプロレスラーで、練習好きな事で有名な選手と言えば多くの人が長州力や佐々木健介・・・

そして小橋建太を思い浮かべると思います。

 

もちろん他の選手達が練習してない訳ではありませんが、一部の選手はプライベートを惜しんででも 時間を見つけては、道場に通い練習に明け暮れる選手も中には居ます。

もちろん強くなる為に。

ひいては一流のレスラーになって団体を支える顔と呼べる選手になるべく 若い頃から殆どの時間を練習に費やしてきた選手と言うのは、尊敬に値すると思います。

しかし そんな練習ばかりやっている選手とは対照的に、そこまで練習を熱心にしない選手も居る様で、そんな選手から見れば練習好きな選手は、やはり異端に見えるようです。

 

1980年代~1991年までの全日本プロレスの選手は、当時・新日本所属の馳浩が指摘していたように、明らかに余り練習をしていない緩んだ身体の選手が多かったのも事実。

結果的にその対象だった選手は、殆どがSWSへの大量離脱で全日本を退団してしまった訳ですが、練習嫌いな選手が多かった時代に、新人だった小橋建太はかなりワリを喰ったそうです。

 

全日本の道場では、余り練習をしない選手を尻目に、小橋は練習練習・・・

来る日も来る日も練習練習

合同練習も終えても また練習・・・

そんな練習ばかりをする新人を見て、当時の先輩レスラー達は、小橋の事をバカにしたり笑っていたと言います。

 

しかし その影口を叩いているレスラー達の前に現れた天龍源一郎は、こう言いました。

 

「お前ら、いつかこいつに飯食わせてもらう時が来るぞ」

 

一喝された 影口を叩いていたレスラー達は、天龍の言葉を聞いてどう思ったのかは分かりませんが、この時の天龍の言葉は、正に現実の物となったのです。

この数年後には、小橋は四天王と呼ばれるまでに成長して エース三沢光晴の脇を固める存在にまで成長したし、ノアになってからは絶対王者として紛れも無く 実力・人気ともに、ノアを引っ張っていた存在でした。

あの時に小橋の影口を叩いていた選手が、どれ程 全日本に残留して、ノアに移籍して来たのかは分かりませんが、過去の自分の言葉を恥じているかも知れませんね。

 

少なくとも小橋の絶対王者時代のノアは、新日本を追い抜いて業界の盟主だったので、小橋人気の恩恵にあやかって美味しい思いをした選手も多かったであろう事は明白なので、あの時の天龍の言葉と 自分達の影口を思い返す度に、赤面しているんじゃないでしょうか?

 

それにしても上下関係が絶対のプロレス界で、新人にも関わらずに、先輩達に影口を言われても笑われても 自分の信念を曲げずに、練習一筋を貫いた小橋は立派だと思います。

若い頃から 自分の信じる道を貫いてきたからこそ 後に絶対王者と呼ばれる存在にまで成りあがったのでしょう。

 

そして同様に、プロレスラーに必要な練習に励む選手を 他の選手同様に笑う事無く 正当に認め評価した上で、影口をいう選手達を一喝した天龍も立派だと思います。

天龍のあのどんな技を受けても立ちあがって来れるタフさと、65歳まで現役を続けれた強靭な肉体は、やはり練習量の賜物である事は間違いありません。

 

練習の重要性を理解していた天龍や小橋だからこそ、プロレス界を代表する選手にまで成長できたのでしょう。 あの時に小橋の事を笑っていた選手たちは、時期的に観て四天王よりも上の世代の選手になりますが、ジャンボ鶴田以外の選手はお世辞にも プロレスを代表する様な選手では無かったとも思います。

 

それを考えると外野の声にも負けずに、ひたすら練習に明け暮れた小橋建太

キャリアなど関係無しに、正しい物を正しいと評価して 自らもそれを実践していた天龍源一郎

 

練習は嘘をつかない

この2人は、この言葉を身を持って証明してくれたのではないでしょうか。