9.17 後楽園ホール大会で、丸藤正道の25周年記念興行として行われたのが新日本プロレスのウィル・オスプレイとの超ドリームマッチ。
この対決は、今年度の日本マットにおいてもトップクラスの夢対決です。
ノアの象徴である丸藤と、現IWGPUSヘビー級王者のオスプレイ
それぞれの所属団体のトップクラスの2人が闘うというのに、団体対抗戦色が薄いのは、オスプレイが16歳の頃から憧れていたという丸藤への感情を隠す事なく リスペクトの念を全面に押し出しているからでしょうね。
ライバル団体のトップ選手を相手に、対抗意識よりも、素直に尊敬の念を口にする事が出来るのは、オスプレイの人間性を感じる事が出来るし、丸藤が世界に与えた影響力というのも改めて感じる事が出来ます。
そして名勝負製造機と呼ばれるこの2人が激突すれば、例え前哨戦なしの正真正銘の初対決といえども名勝負になる事は誰の目にも明らかでしたが、いざ試合が始まれば やはり予想に違わぬ名勝負となりました。
オスプレイも丸藤に影響を受けたというだけあって同じ技も飛び交いますが、技の応酬で驚いたのは丸藤が滅多に出さないにタイガーフロウジョンまで繰り出した事。
オスプレイに勝つ為に敢えて出さざるを得なかったのか、手の会う相手とのアドレナリンが出させたのかは分かりませんが、タイガーフロウジョンは、かつて時のIWGPJr.ヘビー級王者タイガーマスクから王座を奪った技であり、G1では時のIWGPヘビー級王者・棚橋弘至からもフォールを奪った事のある新日本勢としては、過去に辛酸をなめてきた技でもあります。
しかし オスプレイは、これをカウント2で返す粘りを見せると猛反撃。
最後はヒドゥンブレイドからのストームブレイカーで、憧れの丸藤を撃破しました。
この勝利で「新日本の勝利」という訳ではないでしょう。 個人的な戦いの意味合いが強い試合なので、試合後には座礼を交わし、リング上にはお互いに対するリスペクトが溢れていて とても清々しいものでしたから。
そして試合後の丸藤のマイク
「本当に色々な事がありました。だけど俺は前を向いて常に歩いてきました。今日は負けてしまいましたが、もう一度てっぺんを目指して頑張ろうと思います」
と大会を締めくくった訳ですが、この決意表明を聞いて少し安心しました。
今の丸藤は、N-1を辞退したり立場上どうしても一歩引いた位置から若手の踏み台やアシストに回る事が多かったので、こうして再びトップ戦線に舞い戻る決意を固めてくれただけでも この一戦をやった意味があるという物。
「本当だったらジェイク・リーに勝ってGHCを取って、N-1に優勝して今日という日を迎えて、あいつに勝てば俺のプロレス人生もう言う事なかったよ。でもそれじゃもしかしたら引退してたかも知れないから。結果的にはこれで良かったけど。 今日見てどうでした? 丸藤もうちょっとやれると思ってくれたなら、もうちょっとやらせて貰おうかな。何だかんだ言ったって、ギリギリで生きてきたんで。でもそのギリギリが楽しいしね」
丸藤がこう語るように、この敗戦が丸藤を再び奮い立たせてくれたのならば、そこはこの試合を受けてくれたオスプレイに感謝です。
そして25周年目の節目を勝利で飾る事の出来なかった丸藤ですが、思えばJr.ヘビー級時代から何度も三沢光晴や小橋建太にハネ返されても立ち上がってきた丸藤のプロレス人生は、小さな体で大きな体の格上を相手に、敗戦から始まってきた 正にギリギリのプロレス人生でした。
その都度 立ち上がってきた丸藤ならば、今回もまた立ち上がって 第一線に舞い戻ってくれると信じています。
節目となるドリームマッチを終えて、新章に突入するであろう丸藤正道の”これから”に期待ですね。