タイガー・ジェット・シンのコブラクロー

近年のプロレスは、技術の発展により随分と高度な攻防も繰り広げられる様になり、技ひとつを取ってみても複雑化しているので、昔に比べるとプロレス自体がかなりの進化を遂げています。

特に、90年代に入ってからのプロレス技の進歩は目まぐるしく、昭和ではとても考えられない様な技も沢山あります。

 

でも こうなって来ると逆に進化する事が良いことなのか?と考える事もあり、昭和ならではの物凄くシンプルな技がフィニッシュになっていた事も令和では考えられない事で、見習う点であるのかも知れません。

令和では有り得ない 単純な技で尚且つフィニッシュホールドと言えば

 

タイガー・ジェット・シンの必殺技

コブラクローが思い出されます。

 

正面から相手の喉を鷲掴みにして、2本の指を頚動脈に押し当て酸欠状態に陥れる技。

 

余りにも単純な技ですが、シンの得意技として有名。
上記に挙げているのは、あくまで建前上の解説で、実際には単なるチョーク攻撃に過ぎない・・との見方もあります。

 

しかし、シンが全盛期に活躍していた
創立間もない新日本プロレスとしては、アントニオ猪木の宿敵ポジションは興業的にも必要不可欠な存在。

その第一候補であったシンをどうしても売り込む必要があった為に、コブラクローを反則としない方針がとられていたと言う事情かあるのですが、チョーク攻撃は、どう考えても単なる反則なんですけどね(汗)

 

案の定、山本小鉄も後に「あれは紛れもなく反則。だから自分がレフェリーに転身後は、あの技に対し厳しく反則をとった」などと語っている様に、やっぱり反則技なのです。

しかし良いように捉えれば反則を反則と認めさせない、ヒールとしてのカリスマ性がシンにあったのは事実でしょう。

今にして思えば、メチャクチャな話の様な気もしますが・・・ まぁアントニオ猪木や天龍源一郎のみ、拳での攻撃が認められていたのと同じです。

 

新日本プロレスで定着した技である為に、シンが全日本プロレス移籍した際には、この技をタイガークローと呼ぶ解説者もいた程で、両団体の垣根を感じさせる当時の時代背景もチラホラ見えて来ますね。

 

頸動脈を絞めるだけの技が必殺技というのは、現代のプロレスでは余りお目にかかれないですが、現代でコブラクローでのフィニッシュとなると物足りないと思うかも知れませんが、逆に新鮮に感じる部分も有るのではないでしょうか?

高度で複雑な技の進化が止まらない現代のプロレス技は、見応えも有る半面 掛ける方・掛けられる方の双方に危険度も増している事が多いのも事実でなので、原点回帰というか・・・単純な技でも必殺技に見える工夫や試合運びを考えてみても面白いと思います。