TAKAみちのくは、小柄ながらも卓越したテクニックと身体能力で、自分よりも遥かに大きいへビー級とも渡り合う事の出来るWWEでも活躍した実力派のベテラン選手です。
そんなTAKAが体格差のある相手に、活路を見いだすのは、やはりヘビー級には無いテクニックとトリッキーな攻撃。
ただ身体の小さい選手が、テクニックを駆使してヘビー級と互角に闘う事は出来たとしても問題になるのは、やはり勝ち方。
パワーや体格で上回る相手を仕留めるには、一瞬の隙をついた丸め込みが最も効果的になります。
ヘビー級からも確実にフォールを奪える技として開発された技が、ヘビーキラー1号です。
仰向けの相手の両足を脇で抱え込み、両腕をクロスさせた上でクラッチしながら 前のめりになって全体重をかける事で、3カウントを奪う変形のエビ固め。
ヘビーキラーとは、文字通りに”大型選手殺し”の技なので、確かにこれだけ固めてしまえば多少の体格差は関係なく 相手は身動きが取れないでしょう。
一見するとプロレスごっこで無理矢理 相手を押さえつけて3カウントを強引に取ろうとする位に、ガチガチに固めちゃってますが、本来プロの技でここまで ムキになってフォールを奪いにいく技もそうそう無いですよね?
しかし この無理矢理が、また良いです。
体格やパワーで劣る選手が、勝つにはそれなりの説得力が必要なので、この技なら説得力は充分。
この技で負けたのなら「しょうがない」となるだろうし、負けても格が落ちる事もないでしょう。 こういう技をもつ選手は、リーグ戦に出場すると番狂わせを引き起こして 星取り表的に面白くなります。
実際に2002年に開催された火祭りでは、唯一のJr.ヘビー級からの参戦で、星取的には早々に予選リーグ敗退が決まっていたTAKAですが、最終戦で勝てば決勝進出となっていた田中将斗からヘビーキラー1号で金星を奪い、田中の決勝進出を寸前で阻止した事もありました。
田中からすれば、まさかTAKAに足元をすくわれるとは夢にも思ってなかったでしょうね。
本人にしても見ている側にしても こういう番狂わせが起こるからこそ、リーグ戦は面白いのであって醍醐味でもあります。
試合後のTAKAのコメントが
「腕も足も全部ガチガチに固めてやる!」
でしたが、あそこまで全部固めちゃえば、無理矢理どころか、むしろ清々しいです。
真っ向勝負でヘビー級を打ち負かすJr.ヘビー級が居ても良いとは思いますが、身体の小さい選手がテクニックと頭脳を駆使して 身体の大きな選手を翻弄するのもプロレスの面白さです。
本人の言う所によれば勝率100%らしく、滅多に出す事の無い「対ヘビー級用の隠し技」。
次は誰を丸め込むのか楽しみです。