田中稔は、本当に何でも出来るレスラーで、蹴りや間接技や空中技、その気になればラフファイトまで 全ての技を高い平均点で出来てしまうので、器用と言うか天才肌なんでしょうね。
そんな田中が拘りを持っている技が、丸め込み技と聞いた時は、少々意外な気もしましたが少年時代に、藤波辰爾や初代タイガーマスクに強く影響を受けている田中なので、丸め込み技の奥深さを追求しようと思っていても不思議ではありません。
2000年代前半は、逆さ押さえ込みなどを好んで使っていましたが、やはり大好きな丸め込み技を自分でも開発したくなったんでしょうか?
IWGPJr.ヘビー級も獲得していながら、毎年優勝候補と目されているにも関わらずベストオブ・ザ・スーパーJr.の栄冠だけは、どうしても手に入れる事の出来ない田中が迎えた8度目の挑戦となったのは、2006年の事。
当時の田中の格や実力を考えたら、不思議かも知れませんが、田中には本当になかなか縁の無い大会だったので、背水の陣で挑む8度目の大会に向けて 田中はアメリカ遠征の最中に、2つの秘策を用意したのです。
その一つが、拘りの丸め込み技であるカリフォルニア巻き。
名前だけ見ると 美味しそうなカリフォルニア料理みたいな名前ですが、れっきとしたプロレス技の名前です。
四つん這いの相手に対して、サイドから首と片足を抱え込み 前方に転がる事で、相手を裏返してしまい そのままブリッジで固めつつ3カウントを奪う技。
最終的には、フィッシャーズスープレックスの様な形で、押さえ込む事になります。
リーグ戦での邪道とのCTU同門対決で、初公開し見事に勝利。 この技の開発の甲斐もあってか?田中はようやく初のスーパーJr.制覇となりました。
決勝戦では、余りに激戦だった為に公開間もないカリフォルニア巻きすらもカウント2で返されていますが、最終的には優勝してるんで結果オーライでしょう。
最近では余り出す事もなく 使用頻度は低いですが、それでもフィニッシュとなる事は結構あります。
やはり ここ一番でのみ出す隠し技と言うのが、大きいのかも知れません。
隠し技を持つ選手は多いですが、受け身を取れる投げ技と違って、相手をKOしなくても3秒間だけ相手の意表を突ければ良いのだから、隠し技としての丸め込み技は、効果絶大だと思います。
頭の中に全く無かった場面で、予想外の技で丸め込まれたら、結構焦るものなんでしょうね。
棚橋弘至の電光石火
丸藤正道の完璧首固め
これらも同じ様に、滅多に出す事のない隠し技の丸め込みですが、例えフォールを取れない場合でも 相手を焦らせて試合の流れを変えるには、大いに役立っています。
美味しそうな名前の技ですが、実際の効果の方も5つ星ですね。