KUSHIDAのリストクラッチ式ホバーボードロック

プロレス技には、様々なリストクラッチ式○○と言う技が有ります。

既存の技に、手首を掴んで受け身を取れなくすると言う名目で、リストクラッチ式とする事で、一段階上の派生技としてレパートリーを増やす事が、プロレス界では当たり前でした。

 

しかしプロレス界における リストクラッチ式の概念を覆した技も中にはあります。

 

KUSHIDAのフィニッシュホールドの一つであるホバーボードロックですが、技を極めてから 更に手首をも同時に捻りあげる事で、肩と手首を同時に極めてしまうと言うホバーボードロックの進化系です。

 

これまでリストクラッチ式○○と呼ばれる技は、手首を掴んで受け身を取れなくする事で投げ技を強烈にするイメージでしたが、リストクラッチ式ホバーボードロックに関しては、実際に手首を掴んでいる訳ではなく 手首を極めていると言う意味合い。

これまでのリストクラッチ式とは、全く意味合いが違ってきます。

 

なのでリストロック式ホバーボードロックと言った方が、本当は正解かも知れません。

 

2016年のIWGPJr.ヘビー級王者時代に、新世代の旗手として新日Jr.の重鎮 獣神サンダー・ライガーを挑戦者として迎える際に考案された技。

これまでも何度か王者になり 新日Jr.のエースとも呼ばれていたKUSHIDAですが、ライガーには直接勝利した事はあっても、タイトルマッチで闘った事は一度も無く この試合に懸けるKUSHIDAの想いは、並々ならぬものが有った筈です。

通常の試合とタイトルマッチで勝つのでは、勝利の重さも違ってきますから、新日Jr.を背負う覚悟のKUSHIDAとしては、絶対に負けられない一戦でした。

 

 
ライガーも長年の歴史をKUSHIDAに刻み込んで来ましたが、最後は新時代を作ろうとするKUSHIDAの意地が僅かに上回り、リストクラッチ式ホバーボードロックを完全に極めて 遂に新日Jr.の象徴から、完全なるギブアップを奪う事に成功しました。

 
名実ともに、KUSHIDAが新日本Jr.のエースになったと言える瞬間でしょう。

 

ライガーを撃破した技として、切り札になっても良さそうな物だったのですが、何故かこれ以降は使用される事はありませんでした。

まぁ手首を捻って関節を極めると言うのは、痛め技程度なら良いけど 余りカッコイイ動作では無いし 普通のホバーボードロックの様にガッチリと極めている方が、見た目はカッコ良いし”極まってる”感も強いですからね。

  

翌年の2017年には、新必殺技のバックトゥザフューチャーを開発した事で、通常のホバーボードロックの使用頻度が減った事も少なからず関係しているのでしょう。

 

KUSHIDAの技の中でもトップクラスに、レアな技です。