秋山準「一話完結は今日で終わりです」

全日本プロレスが分列してしまった2000年までは、日本のプロレス界は多団体時代に入りながらも 新日本と全日が2大メジャーとして人気実力ともに、勢力を二分していました。

だからこそか両団体は、とにかく両極端でした。

 

攻めの新日本に対して受けの全日本。

それはプロレスのスタイルだけに限らず 新日本の場合は、まず因縁や対立構造と言ったアングルをしっかり作ってから決着戦やタイトルマッチに持っていく流れを作っていましたが、一方の全日本は、試合以外のストーリーとかは余り作らずに、あくまでリング上での闘いだけに注力していました。(例外もありましたが)

どちらが良いか悪いかは別として 両団体のカラーがハッキリ分かれていたのは、面白い所でもあり 全日本から派生したNOAHもその流れを汲む形でした。

しかし そこに異議を唱える選手が一人。

NOAH旗揚げと供に、一気に頭角を表した秋山準です。

 

2001年に、自身のキャリアで初となるGHCヘビー級王者となって 初めて団体の頂点に立った秋山は、これからのNOAHを変えるべく こう叫びました。

 

「自分で考えて挑戦権をもぎ取る奴じゃないと。会社が次はコイツと決めてもボイコットします。一話完結は今日で終わりです。」

 

この発言でNOAHが、すぐに変わった訳ではありませんが、確かに旧全日本から続くNOAHは、普段から長期的なストーリーは余り無く 会社が防衛戦の相手を発表すると そのシリーズから挑戦者が急に強くなったり勢いが増したりする事は、良くありました。

自己主張を控える事を美徳とするのが、旧全日本からの教えだったので、選手達が悪い訳ではありませんが、与えられた役割をこなすだけでなく、プロレスラーならもっと欲を持って 頂点を取る為に動けよ!!と言う事なんでしょうね。

余りにも自己主張をしない 周りの選手達を秋山は、身近で見ていて歯痒く思っていたんでしょう。

 

全日本時代から秋山は、どちらかと言うと新日本ぽいなとは思っていましたが、ここいらの発言を聞くと やっぱり秋山は新日向きなんだと再認識。

「たら・れば」の話をしていても しょうがない事ですが、逆に中西学は全日本に行ってれば もっと大成していたと思います。

 

全日育ちの異分子とも言える秋山が凄いと思うのは、ジャイアント馬場の提唱する美学を三沢光晴の作った団体で、否定するなんてなかなか出来る事ではありませんからね。

馬場にしても三沢にしても 秋山からすれば尊敬する大先輩

その大先輩達が作った流れを変えようと言うのだから、秋山なりにNOAHを良い方向に持って行こうとしていたのは、良く分かります。

 

一歩間違えれば 自分の立場すら危うくなりかねないのに、NOAHを面白くしようと言いたい事をズバッと言っちゃう秋山は、当時の保守本流が主流のNOAH・旧・全日本にしては、珍しい革命児でした。

 

あの頃の秋山は、本当に色気があったし 四天王の次は秋山に任せれば大丈夫だ。秋山がNOAHをもっともっと面白くしてくれる!!

そう感じさせてくれる選手でした。