ミラノコレクションA・Tのパラダイスロック

パラダイスロックと言えば、現在ではSANADAの技というイメージですが、元を辿ればメキシコで古くから使われていたジャベで、日本で有名な使い手といえば2010年に現役引退をしたミラノコレクションA・Tです。

 

この技は非常に難解な技で、説明も難しいんですが、相手の足を胡坐をかいた様に交差させながら、そこに相手の両腕を絡める形で、両腕両足をの動きを封じた上でひっくり返して 完全に身動きを出来なくするという技。

これを喰らうと相手は、自力で全く動けなくなってしまうので、恥ずかしい体勢で暫く放置されてしまう事から肉体的によりも精神的にキツい技だと言えるでしょう。

 

「あれ本当に動けないの?」

「動けないフリしてるんでしょ?」

この技を見た事がある人ならば、誰もが抱いた事のある疑問だと思いますが、腕や足の細い一般人なら どうしてもスカスカになってしまうので、技をほどくのは実際に容易いようです。

しかし鍛え抜かれた レスラーの逞しい腕や足だと隙間無くガチガチに固められ、尚且つひっくり返される事で、100㎏前後のレスラー自らの体重で更に完全に極ってしまうという 例え一般人には効かなくても レスラー相手には絶大な効果を持つという珍しい技です。

 

少しフザけた技に見えるので、個人的には余り好きではありませんが、数ある他の技とは明らかに系統が違うという所が、面白い技でもありますね。

単に変な体勢で動けなくなる恥ずかしいだけの技・・・という訳ではなく、ミラノがパラダイスロックを使いはじめた当初は、これでしっかりギブアップを奪った事もありました。

まぁ 少し信じ難いですよね(笑)

食らった事がないので分かりませんが、腕が自分の足に挟み込んまれているので、膝固めの様な効果があるんでしょうか?

 

とはいえ、インパクトこそあれ説得力には欠けるので、近年では後継者のSANADAを含めて これでギブアップを奪う事はもうありません。

しかし この技が意外な形と言うか、有る意味合理的な形で、勝利に結びついた事もあります。

 

それはミラノが、新日本プロレス移籍後の2007年の初出場となるG1クライマックスでの事。

矢野通との公式戦で、何と場外でパラダイスロックを仕掛け、矢野の動きを封じると 自身は全速力でリングに戻りリングアウト勝ちをせしめるという頭脳プレイで勝利した事があります。

 

これは身動きできないというパラダイスロックの特性を最大限に活かした 最も効果的な使い方ですね。

まぁ 毎回こんな勝ち方をしていたのでは、流石にシラケるかも知れませんが、プロレスが力だけでは無い事を身を持って証明した一戦だったと言えます。 セコイ勝ち方と言われるかも知れませんが、たまにはこういう勝ち方も良いでしょう。

 

頭脳派のミラノらしい戦法で、これはこれで面白かったです。