デビット・フィンレーのグランビーロール

今やトップ選手とならんでも違和感のない程に大きな成長を遂げたデビット・フィンレーですが、そんな彼も当然ながら2015年に、留学生として新日本プロレスに来た頃は、まだまだヤングライオンと同格の選手でした。

 

先輩レスラーと闘っても毎回敗け続けながら、しっかりと技術を磨き 虎視眈々と浮上のチャンスを伺う毎日。

新日本では同期にあたるジェイ・ホワイトやジュース・ロビンソンにも 先を歩かれ焦りがなかったと言えば嘘になるでしょう。 そんなフィンレーが、最初にマスターしたフィニッシュホールドが、グランビーロールでした。

相手にバックを取られた際に、相手の右手首を掴みながら左サイドに側宙の要領で宙を舞い、それに引き込まれた相手が仰向けに転がされると、すかさず その上に背中から覆いかぶさり 右手首は掴んだままで、左手で相手の右足をも抱え込み押さえ込む技。

 

あくまで丸め込み技なので、必殺技と言う訳にはいきませんが、当時はキャリアが浅かった事もあり、上位の選手に勝つにはまだ力強さが足りなかったのですが、それを補う為に丸め込み技に磨きをかけたのは良かったんじゃないでしょうか。

 

Jr.ヘビー級として 新日本でキャリアをスタートさせたフィンレーは、2015年にBEST OF THE SUPERJr.に初出場を果たした物の健闘むなしく全敗

翌2016年に同大会を2度目の参加を果たした際の、待望の貴重な初勝利をあげた時の技が、このグランビーロール。

その時の相手は、曲者の外道が相手とあってキャリアの浅いフィンレーは、そのテクニックとインサイドワークに翻弄される場面が目立ちながらも、一瞬の隙を見逃さなかったフィンレーが、絶妙の切り返しでグランビーロールを公開して逆転勝利を果たしたのでした。

 

あの試合巧者と名高い外道ですら完璧に虚をつかれ、格下と思われていたフィンレーに
まさかの3カウントを取られたのですから、やはりその効果は絶大だったと思われます。

何より技への入り方が、ヒラリと丸め込むので美しいんですよね。

これは本当に良い技です。

フィンレーによもやの敗戦を喫してしまった外道は、寝っ転がって ジタバタと悔しがっている姿が印象的でしたが、まあこれは、当時の外道のお決まりの「悔しがりムーブ」なんですけども・・・それでも格下のフィンレーが劣勢の中、巧みな丸め込みを完璧に決めたからこそ、試合後の外道のこのパフォーマンスも引き立っていたのでしょう。

 

2016年当時は、まだまだトップ選手に比べて格的に見劣りしていたフィンレーですが、Jr.の重鎮である獣神サンダー・ライガーからもグランビーロールでフォールを奪った事があります。 同期の2人に比べて トップ戦線に絡んで来る事の遅かったフィンレーでも この技を出せば金星を奪って来ている事から、この技の効果は実証済みといえます。

 

最近のフィンレーは、トラッシュパンダ、Prima Nocta、ACID DROPなど強烈な必殺技を複数持っているので、丸め込み技に頼る必要も無くなったのか、グランンビーロールの使用頻度もかなり減っていますが、これは正直勿体ないです。

それらの大技に加えて、相手の隙を突く形でグランビーロールを繰り出せば、もっと勝率も上がる気がするんですけどね。

 

いや 勝率うんぬんよりも この技カッコイイから好きなだけなんですけどね。