船木誠勝と言えば入門こそ新日本プロレスですが、キャリアの浅い内に新生UWFに移籍をして その後、団体の崩壊や方向性の違いなどもあり藤原組 やパンクラスに身を置きました。
船木は新弟子の頃から、その非凡な才能を見いだされ多いに期待をかけられていたのですが、いわゆる船木がやってきたのは、いわゆるU系と呼ばれるプロレスで、一般的なプロレスとはほぼ縁のないキャリアを送っていました。
そしてヒクソン・グレイシーに敗れ、現役引退を表明したのが2000年。
当時の船木は、まだ31歳でプロレスラーとしてなら、これからが脂の乗っている時期だっただけに、船木が純プロレスをしていたらプロレス界には、どんな未来が待っていたんだろう・・・こんな事を何度も考えました。
この時期には、U系の団体の崩壊が相次いでいた事から、船木にもプロレスに回帰して欲しかったんですが、当時の船木の信念からすれば、それはあり得ない話だったんでしょうね。
しかし時が流れれば、船木を取り巻く状況や 自身の考えに変化が生じます。 一度は復帰話が持ち上がるも白紙に戻った事で、船木のプロレスは見れないのかと思っていた2009年。
同期の武藤敬司の誘いにのり、ついに船木が全日本プロレスで、待望のプロレス復帰を果たしたのです。
船木がプロレスに戻ると言う事で、気になるのはコスチュームやファイトスタイル
そして何と言っても必殺技ですよね。
ハーフパンツに身を包み、U系をベースにしたファイトスタイルの船木は、復帰当初は、U仕込みの間接技や打撃技・・・そしてバックドロップを必殺技として使用していましたが、まぁこれだと当時溢れていたU系からプロレスに流れてきた どこにでもいる選手って感じでしたね。
船木ならではの必殺技と言う物を期待していたんですが、一朝一夕で出来る物ではなく なかなかこれと言った物が無い状況が続きました。
しかし船木にとって転機となったのは、2012年に左眼底骨を骨折した際の長期欠場中であり 時間が有った事が幸いしてか、遂に新技の考案に至り、これぞ船木誠勝の必殺技と言うハイブリッドブラスターを復帰戦で初披露して カズ・ハヤシから勝利を奪っています。
ハイブリッドブラスターとは、要するに相手の片腕をハンマーロックに極めてのツームストンパイルドライバーなのですが、これはU系仕込みの関節技と プロレスの代表的な技であるパイルドライバーと言う事なる物を掛け合わせた 正しく”ハイブリッド”な技で有る訳です
これは船木がパンクラスを立ち上げた時に掲げたスローガン「ハイブリッドレスリング」を彷彿とさせるネーミングで、面白いと思います。
そしてもう一つ面白いと思ったのが、ガチガチのU系だった船木が、ガチガチのプロレス技であるパイルドライバー系を必殺技にチョイスした所。
パンクラス時代の船木を知っていれば、こんな姿は想像出来なかったと言う所はありますが、新日本→UWF→藤原組→パンクラスとこれまで、ずっと行動を共にして来た盟友・鈴木みのるも 現在は袂を別っていますが、プロレス回帰した際の必殺技は、ゴッチ式パイルドライバーなんですよね。
まさかパンクラスの2大巨頭が、2人してパイルドライバー系を必殺技にするなんて、1990年代のパンクラスを見ている時には、思いもしませんでした。
いや この2人がプロレス回帰した事にも、当時からすれば相当な驚きですが、2人揃って必殺技にはUWFの匂いを全く感じさせないパイルドライバーを選んだ所が、非常に面白いです。
プロレスって本当に、5年後 10年後にはどうなっているか分かりませんね。