田中稔は実に器用で、どんな技でもそつなくこなしてしまう印象がありますが、2006年頃のCTUとして活動していた期間は、新技の開発や新たな技の会得に、特に励んでいた時期だったと思います。
その中には「なに?そのネーミング?」と言う物や、明らかに相手を挑発する為だけの技もありました。
当時の田中は新日本プロレスJr.のトップ選手で、金本浩二とのIWGPJr.ヘビー級に挑戦を控えていた時期。 その前哨戦で繰り出した技がまさかのタイガースープレックスでした。
田中と言えばドラゴンスープレックスやフルネルソンバーストは使用していましたが、タイガースープレックスとなると ちょっと記憶に無いので、これは金本の得意技であるタイガースープレックスを掟破りで使うタイトル戦への駆け引きだったのでしょう。
プロレスでは良くある事です。
しかし公式サイトで、試合結果に書かれていたのは、3代目タイガースープレックス。
ん?
タイガースープレックスの3代目?
3代目が使うタイガースープレックス?
そもそも田中は、何かの3代目でもないし、良く意味が分からなかったですが、3代目タイガーマスクだった金本への挑発で、3代目タイガースープレックスと言う事でした。
何と言うか、挑発が回りくどい!(笑)
いや、これはこれで面白いから良いんですけどHEATをやめて CTUに加入してからの田中は、コメントもそうですが技名にも洒落が効くようになっていたので、そのノリで開発した技なんでしょう。
ただ面白いのは金本への挑発だからといって、全く金本と同じ技では無い所。
通常タイガースープレックスには、2種類のクラッチがあり、掌を相手の背中に添えて投げる初代式。金本もこれを使用しています。
両手をクラッチして投げるのが、2代目考案の三沢式。通称タイガースープレックス84ですね。
田中は金本への挑発と言う事で、金本と同じ初代式でタイガースープレックスを披露したのですが、注目すべきは背中に添えている田中の手。
3代目タイガーマスクだった金本にちなんで、三本指を背中に添えているのが最大の違いです。
まぁ最大の違いと言っても、大した違いでもなく、これだけで違う技にしてたらキリが無いかも知れませんが、プロレス技は時と場合によって色々と見方も変わってくるので、これはこれでOKです。
かつて「指の角度が一本違えば違う技」と名言を残した人が居たんだから、指の角度が三本も違うのだから立派に違う技でしょうかね。