プロレス界で大流行したパワーボムですが、派生技とまでいわずとも例え普通のパワーボムでも 少しのアレンジを加えるだけで全く違うイメージで、大きなインパクトを与える事が出来ます。
それが小橋建太のターンバックルパワーボム
技自体は普通のパワーボムですが、マットに叩きつけるのではなく コーナー付近パワーボムを仕掛けターンバックルに向かって、後頭部を叩きつける荒技。
ターンバックルに相手をぶつけると言うのは、ゲーリー・オブライトがぶっこ抜きジャーマンで高田延彦を相手に仕掛けたのが初だと思いますが、それを知ってか知らずか違う技に応用したのは小橋が初だと思います。多分
過激化していく四天王プロレスの中で、当たり前の様に繰り出されていた技ですが、これは中々の危険技。
恐らく この技を最も受けたのは、幾度と無く死闘を繰り広げた、三沢光晴だと思いますが
「普通に背中から、落とされると思って受け身の準備をしていたら予想外の所で、強い衝撃を受けた」と喰らった三沢が後述している様に、喰らう方からすれば、どの時点で叩きつけられるのかが、全く分からない恐ろしい技だと言う事です。
そもそもタイミングが分かった所で、受け身を取れる平らなマットの上と違って、ターンバックルにぶつけられるのなんて 受け身の取り様もないので、幾ら受け身の天才の三沢と言えどもダメージを軽減する術が無いんですよね。
それに一番恐ろしいのは角度でしょうか。
平らなマットなら後頭部から背中にかけて水平に落ちて受け身を取る事で、ダメージを抑えれるのに対して、斜めに飛ばされてターンバックルにぶつけられるのでは、後頭部だけを叩きつけられ首が曲がる形になるので、首が結構ヤバイ事になりそうで怖い技だと思います。
投げる方が角度を緩くして 背中からターンバックルに当てる様にすれば、そこまでのダメージは無いと思うんですが、比較的 小橋は容赦なく仕掛けてましたからね・・・
背中からぶつけられた事も何度も有りましたが、三沢の頭の位置がコーナートップよりも高い位置で叩きつけられたので、叩きつけられた時の衝撃が余りにも強すぎて 三沢の首が後ろにガクンとなってしまったのが、観ていて怖かったのを覚えています。
あれは追突事故に有ったみたいな感じで、ムチウチになってもおかしく無いレベル。
全てのダメージが後頭部から首に来てしまう・・・見た目以上に危険な技です。
コーナーに向かって、相手の後頭部を叩きつけるなど、相手の力量を信頼していないと とても仕掛けれない技ですが、そこは三沢と小橋の強固な信頼関係があったからこそ成立した技でもあります。
しかし三沢も小橋とは、何度もタイトルを懸けて闘いましたが、その度にこんな技を受けてたのだから、つくづく凄い事をやってたんだなと思わされます。
技を受ける方の覚悟も相当な物でしょうが、技を掛ける方の覚悟もまた相当な物だったんでしょうね。