小橋建太のリアルブレーンバスター

数多く強烈な必殺技を持つ小橋建太ですが、その中でも比較的新たな必殺技と言えば垂直落下式ブレーンバスター。

通称リアルブレーンバスターでしょう。

 

膝の負傷による長期欠場から、2003年に復帰した小橋が新たに使用を始めた技で、初公開となった試合は、三沢光晴&蝶野正洋vs小橋建太&田上明。

何と三沢と蝶野が、ドリームタッグを結成。

NOAHと新日本のトップ同士がタッグを結成した歴史的な試合なのに、いきなりの黒星と言うのも驚きでしたが、初公開となる小橋のリアルブレーンバスターで、三沢をフォールと言うのにも驚きの結果でした。

 

こんな組み合せの試合ならどう考えても負けるのは、田上・・・いや何でもありません。

とにかくこの時のリアルブレーンバスターには、驚かされました。

 

「ずっと研究して来た技」と本人が語っていたのですが、この時代から既に誰もが、当たり前の様に使っていた技を「今更って・・・」と思っていたのですが、それは大間違いでした。

小橋のリアルブレーンバスターは、その他大勢の使う垂直落下式ブレーンバスターとは明らかに違いました。

 

当時のNOAHでは、金丸義信も垂直落下式ブレーンバスターを得意としていましたが、金丸の場合ややスライドさせて後頭部、あるいは首の辺りから落とすので、本当に垂直落下で脳天から落とす事は無く 垂直落下式とは言っても そこまで危険な技ではありません。

しかし小橋は本当に真っ逆さまに、脳天から落としてしまうので非常に恐ろしい技になっていて、真下に引く力が以上に強いのか喰らったか、相手はグニャリと突き刺さってしまうのです。

 

垂直落下式ブレーンバスター系の技に関しては、橋本真也に次ぐ説得力の持ち主だと思います。

2004年のGHCヘビー級選手権で行われた高山善廣戦は、凄まじい死闘でフィニッシュこそ久々に繰り出したムーンサルトプレスでしたが、直前に出したリアルブレーンバスターで脳天から落とされ 体がグニャッと折れ曲がった事で、アバラを痛めてしまったらしく「実はそれが敗因だった」と後に高山は語っています。

頭から落ちる技に、それ以上の効果なんて無いと思っていたんですが、下手したらアバラを痛める場合も有るんですねぇ。

 

リアルブレーンバスターと言う名称に関してですが、本当は脳天から落とすのが本来のブレーンバスターの正式な形なので、小橋のは「リアルブレーンバスター」と名づけられた訳です。

一般的に良く見る背中から落とすブレーンバスターが、現代ではまるで正調式の様な扱いを受けていますが、本来ならあちらが変形ブレーンバスターと呼ばれるべきであって、垂直落下式ブレーンバスターが”垂直落下式”などと、まるで変形の様な扱いを受けている事が、そもそもおかしな話なんですよね。

 

そこら辺は、自分で考案した技では無いとは言え、オリジナル技の存在を大事にする小橋らしいですね。 例え人の技を使用する場合でも、オリジナルのネーミングをちゃっかり付ける様な事は、基本的に小橋はしませんからね。

小橋の技として考えるのであれば、「バーニングスパイク」とか「バーニングバスター」とか小橋っぽい名前を付けても良さそうなのに、敢えて”リアル”と名付けた事は、横行する正調式ブレーンバスターの間違った定義に、一石を投じたと言えるのではないでしょうか。