石井智宏は今でこそ、トップクラスの選手にも勝ったり負けたりを繰り返せるレスラーにまで成長しましたが、新日本参戦時は少し悪い言い方になりますが”インディー出身の身体の小さいヘビー級”扱いで、決して会社の扱いも勝率も良くはありませんでした。
それでも石井は腐ること無く、毎日の練習と身体を削る激しい試合を繰り返して、己を磨き続けて来ました。
石井が誰よりも頑張っていた事は、新日本を見てきた人ならば、誰もが分かっていた事でしょう。
そんな石井の頑張りが会社に評価されてG1クライマックスにエントリーされたのは2013年。
確かに石井がG1に出るのは、あの当時はまだまだ格落ちの感は、否めなかったかも知れません。
しかし そんな声を石井は真っ向から打ち砕きました。
初戦こそ黒星となった物の2戦目で激突したのは、ACE棚橋弘至。
普通に考えれば、棚橋が石井の良い所を引き出した上で勝利するのが、順当な結果だったと思います。 事実 石井はこれまで棚橋に何度もフォールを奪われてきており、石井にとって棚橋は1度も勝ったことの無い厚く大きな壁でした。
しかし そんな”当たり前”をも、石井は打ち砕きました。
試合終盤に遂に決まった石井必殺の垂直落下式ブレーンバスター!
しかし棚橋はACEの意地で、これをキックアウトしたのですが、石井が次の一手に繰り出したのは、何とSSD。
通称イシイドリラーで、ACEから完璧なフォールを奪ってみせました。
当時の石井としては、とんでもない大金星でしたが、まぐれとは言えない程の説得力は確かにありました。
勿論そこに至るまでの課程も素晴らしく、棚橋に勝っても不思議ではない闘いぶりでしたが、とにかく最後のイシイドリラーが凄かった。
垂直落下式ブレーンバスターを必殺技としている事を考えると、イシイドリラーに進化させたのは納得の進化ですが、この技があればもっと中堅だった石井ですが、もっと上位まで食い込めるんじゃないか?
IWGPすら狙えるんじゃないか?と思わせるには、充分すぎる説得力をもっていました。
しかしデンジャラス過ぎる為か、イシイドリラーはこれ以降使われる事はありませんでした。
結局 イシイドリラーに頼らずとも、IWGPに近い位置まで登り詰めているんですけどね。
まぁ あんなにタフな石井が、こんな殺人技を使ったら反則みたいなもんですけど。