KUSHIDAのホバーボードロック

KUSHIDAというレスラーには、どんなスタイルの選手というイメージがあるでしょうか?

思い浮かべる年代によって その印象も変わるかもしれませんが、デビューから暫くは華麗な飛び技をフィニッシュにする身体能力抜群の選手というイメージがあったと思います。

しかし そのイメージが一新したのは、2014年頃からそれまでの切り札であったミッドナイトエクスプレスを封印して、ホバーボードロックを必殺技にしてからでしょう。

 

ホバーボードロックは、スタンディングから相手の首に飛び付いて 勢い良く転がしながら腕を極めるという 入り方こそ変形ではありますが、早い話が単なるチキンウイングアームロック。

オリジナルの要素を加えてはいますが、今までのド派手な技に比べて「随分と地味な技を持ってきたなぁ」と思ったもんです。

でもミッドナイトエクスプレスは、好きな技ではあったんですが、個人的にはホバーボードロックを必殺技にしてからのKUSHIDAの方が、どちらかと言えば好きでしたね。

 

というのもホバーボードロックを必殺技にしてからのKUSHIDAは、攻め方一つをとっても これまでのファイトスタイルに加え、フィニッシュへの布石として徹底した腕攻めや 要所要所でみせるエゲツない攻撃も見せるようになり レスリングスタイルに、深みが出て来た様にも感じます。

デビュー当時からKUSHIDAは、身体能力が優れている為に、どうしても空中戦に注目が集まりがちでしたが、高田道場に在籍経験もあり総合格闘技の実績もあるだけに、実はこういった関節技もお手の物だったので、格闘色の強い技を必殺技にしたのも納得です。

 

そこには、新日Jr.のエースとして成長しつつあったKUSHIDAの強さや説得力を確実に感じる事も出来ました。

 

やっぱりプロレスラーは、例え空中戦が得意な選手でも 例え地味だろうと固め技を幾つか持っている選手は良いですね。

地味な技とはいっても 独特な技の入りをする事で、単なる地味な技に終わらせていない所はKUSHIDAの素晴らしい所で、実際にここからKUSHIDAの試合がうんと面白くなってきた様な印象があります。

 

本当に個人的な意見ですが今までで、ホバーボードロックのベストシーンと言えば、2016年にBUSHIとの間で行われたIWGPJr.ヘビー級選手権試合

この試合は、BUSHIのセコンドに付いていた内藤哲也が、とにかくうるさかったんですが、KUSHIDAがホバーボードを狙ってスタンディングでBUSHIの腕を絡めにいった際に、それを阻止しようとエプロンサイドに上がっていた内藤を蹴り飛ばして場外に叩き落した反動で、そのまま旋回しながらリング中央で、BUSHIをガッチリとホバーボードロックに固めて見事な王座防衛

この流れが実に秀逸で、メチャクチャ好きな場面でした。

 

ここに限らず試合終盤のホバーボードロックを巡る攻防は緊張感があって どれも好きだったのですが、バックトゥザフューチャーを開発してからは、ホバーボードロックのフィニッシュ自体が少なくなってしまい その攻防すらも見る事が出来なくなってしまったのは残念でしたかね・・・

まぁ これも残念では有るんですがしょうがない事。

この先KUSHIDAがキャリアを積んだ時に、再びホバーボードロックに必殺技としての光が当たる時がやってくるかも知れませんから、その時を気長に待ってみます。