惜敗も辻陽太が確かに残した爪痕

日本もコロナから立ち直り、徐々に日常を取り戻す中 新日本プロレスでも上半期のの総決算とも言うべき、大阪城ホール大会が、6月4日に行われました

そこにあったのは、コロナ前にも負けない激しい試合と熱狂空間

そして紛れもない未来への希望でした。

 

この日のメインイベントは、IWGP世界ヘビー級選手権で、王者・SANADAに凱旋帰国一発目にして挑戦するのは辻陽太。

SANADAの試合後に乱入して、行動を起こした事で、辻は最大のチャンスを掴み取った訳ですが、結論から言うと辻は敗れました。

しかし そんな結果などどうでも良い位の素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。

 

元々ヤングライオン時代から そのポテンシャルの高さには目を見張るものが有りましたが、メキシコ遠征をベテランそれが開花した感じでしょうか。

開始早々のブエロ・デ・アギラに始まり、雪崩式スパニッシュフライなど体格からは想像も出来ない技を次々に繰り出してSANADAを追い込んでいきます。

SANADAが起死回生に放った必殺のデッドフォールも何と側転の要領で着地して回避。 この切り返しは見事でした。

それでもようやく掴んだ王座の座を手放すまいと、王者の意地とプライドがわずかに上回ったのか、最後はラウンディングボディープレスからシャイニングウィザード

そして今度こそ デッドフォールをズバリと決めて王座防衛。

 

辻の凱旋一発目での王座奪取の野望は潰えてしまいましたが、それでも敗れたとはいえ最大級のインパクトを残しました。

この日のこの光景こそが、近い将来新日本プロレスの風景に近いものだと思います。

 

今回は6歳年上のSANADAに挑むという形でしたが、いずれは海野翔太や成田蓮といった同世代の選手達とIWGPを懸けて大会場で闘う日がやってくるでしょう。

来たるべき日の期待を抱かせるだけのインパクトが、この日の辻の闘いぶりにはありました。

先を行かれた形の海野や成田もこれから追い上げてくるでしょう。

 

スーパーJr.を制したマスター・ワトも新時代の足音を聞かせてくれましたが、この日の辻陽太もJr.に負けない位に、ヘビー級の未来が明るい事を証明してくれたと思います。

 

「いいか、これは始まりだ。世代交代、若手の台頭、そんなもんじゃない。俺はこの新日本プロレスを世界一の団体にしてみせる。俺の戦いは今日始まったんだ。覚悟は良いか、新日本プロレスよ。そして世界よ」と最後に語った辻の姿は、実に頼もしくもありました。

ビジュアルや立ち位置的に、未来の新日本の表のエースは海野になりそうですが、それに並ぶ反体制派のエース。

L・I・Jやストロングスタイルのエース格として成田や辻が肩を並べる・・・そんな未来が待っているんでしょうか?

 

王座奪取ならずも この日に辻が残した爪痕は間違いなく現在の新日本に、楔を打ち込む形となりました。

その爪痕は、やがて大きくなっていき間違いなく近い将来に、新日本は新たな時代を迎える事でしょう。

 

その時の新日本やプロレス界がどうなっているのか?・・・の想像も膨らみますが、プロレス冬の時代やコロナ禍なんか吹き飛ばしてくれると感じさせてくれるだけのエネルギーが、やはり若い選手の台頭にはありますね。