獣神サンダー・ライガーの雪崩式垂直落下式ブレーンバスター

獣神サンダー・ライガーは、長いキャリアを誇っていましたが、ライガー程 多くのオリジナル技を持ち、ライガー程フィニッシュホールドが変わってきたレスラーも、そうそう居ないでしょう。

ライガーのフィニッシューホールドは、その時期により様々ですが、ライガーの全盛期であり 新日本Jr.が黄金期と呼ばれた1990年代後半のライガーの必殺技といえば、やはり雪崩式垂直落下式ブレーンバスター。

 

垂直落下式ブレーンバスターだけでも十分に破壊力抜群の技なのに、それを雪崩式でやっちゃうのだから、この技の破壊力は今更 語るまでもないと思いますが、当時若く勢いのあった金本浩二、大谷晋二郎、高岩竜一らを何度となく 返り討ちにした事でその破壊力は証明済みと言えるでしょう。

 

ライガーがこの技を使うようになったキッカケは、1996年のベスト・オブ・ザ・スーパーJr.公式戦と決勝戦で、2度に渡り2代目ブラックタイガーと激突した時の事。

ライガーは、ブラックタイガーによもやの連敗を喫しているのですが、そのいずれもが、この雪崩式垂直落下式ブレーンバスターで敗れているので、自らが完璧に敗れ去った事で、その破壊力に目を付けたんでしょうね。

その翌年1997年には、ブラックタイガーも新日本のリングから遠ざかった事も影響していると思いますが、金本とのJr.8冠選手権で粘る金本を 初公開の雪崩式垂直落下式ブレーンバスターで撃破して時代を死守しています。

 

これ以降は、大一番でのライガーのフィニッシュとして、この技が使われる事が多くなったのですが、これ程の大技・・・それなりの頻度で躊躇なく使う事は、当時から結構気になっていたのですが、ライガーもその部分は考えていたのでしょう。

使用回数が増えるに連れて 角度がかなり緩くなっていく事も有り、普通の雪崩式ブレーンバスターとほぼ変わらない事も多々ありました。

いや、そりゃあ雪崩式で本当に垂直落下式で落としたりしたら、大事故に繋がりかねないのは分かるんですが、それにしても余りにも角度が緩すぎて そこまで緩い角度でやる位なら、わざわざ雪崩式垂直落下式なんてやる必要があるのか?と思った事も正直有りました。

 

あの頃のライガーは、充分な説得力を兼ね備えていた掌底でフィニッシュにする事も多かったし、危険な大技の名目でありながら、実際は緩い技を仕掛ける意味は余り無かった様に感じました。

本当に危険極まりない技は考え物ですが・・・

高岩に仕掛けた時なんかは、角度が緩かった事もあってか、普通にカウント1で返されていた事もあったし、そんな事をされていたんでは、最上級に危険な大技の筈なのに、技の価値なんてあったもんじゃないです。

 

当時ライガーは、好きなレスラーだっただけに、そこは本当に残念に感じていました。

 

まぁ2000年になってからは、普通の垂直落下式ブレーンバスターをメインの必殺技にして雪崩式を使う事は余り無くなってしまったので、これはこれで良かったと思います。

2000年以降のたまに繰り出す様になった雪崩式垂直落下式は以前よりは、シビアな角度で決めるようになったし 技を出した際の勝率も上がっていた様だったので、技の価値を考えたら、この形になったのが一番良かったのではないでしょうか?

 

技の使い方ってのは、本当に難しいですね。

危険な技では説得力は上がりますが、相手に怪我をさせてしまっては元も子もないし・・・かといって緩すぎる技では、そこに説得力は発生しません。

プロレスって本当に難しいです・・・