棚橋弘至のトゥエルブ・シックス

太陽の天才児と呼ばれた棚橋弘至も未やベテランになり、ファイトスタイルもすっかり安定して現在では、かつて使用していた技の数もかなり絞り、使われなくなった技も多くあります。

棚橋が2007年から使い始めたオリジナルホールドのトゥエルブ・シックスもその一つ。

 

相手の正面から左腕を首にかけて、右腕で相手の左内腿をすくい上げて、相手を反転させるとシットダウン式で後頭部や背中から叩きつける。

要するにキャプチュードの体勢で持ち上げてから、みちのくドライバー2の要領で叩きつける技。

 

これは棚橋にしては、かなり珍しい部類の技ですね。

藤波辰爾の影響を受け 比較的クラシカルなレスリングを好んでいた棚橋は、スープレックス以外は極力 相手を担いでから頭から落とすような技は使ってきませんでした。

中邑真輔と闘う時は、見せ場として「間接技で切り返されるのを前提でのパワーボム」なんかは、何度か見せた事はありますが、得意技の中に頭から落とす系統の技を加えてきたのは、少々意外な選択でした。

 

技名に関しては、使用当初は特に命名されず、変形ファルコンアローや変形キャプチュード等と呼ばれていましたが、2007年の初公開から4年後の2011年に、ようやくトゥエルブ・シックスと命名。

なんで技を命名するのに、ここまで時間がかかったのかは知りません。

とにかくトゥエルブ・シックスです。

 

最初の体勢がキャプチュードと同じなので相手の蹴りを受け止めてから、技に入れたり・・・反撃の起点にも使える技で、最終的にはみちのくドライバー2と同じなので、威力はありそうな技なのに、フィニッシュに使用したのは数える程しかありません。

一つ位は頭から落とす強烈な技が有っても良いのかも知れませんが、棚橋のこの技は余り精度が高くないと言うか、ハヤブサのファルコンアローの様に、もう少し開脚を綺麗にすれば、格段に見栄えは良くなるんですけどね。

欲を言うなら持ち上げてから、少しタメが欲しい所です。

 

とは言っても、藤波や武藤敬司の影響を受けている棚橋からしたら、頭から落とす技は余り好きでなかったのか、思い入れも無かったのか・・・敢えて精度を上げる事も考えていなかったのかも知れません。

それならそれで、正直な所 棚橋にこの技は必要ないと思っていたので、いっそ封印でも良いと思っていたら、案の上いつの間にか使用されなくなっていました。

 

自分には合わないと思ったのか・・・それとも近年のコンディションの悪化からなのか・・・この封印にはどんな意味があったのかは定かではありませんが、棚橋には力技に頼らなくても闘えるだけのテクニックとキャリアがあるから そこまで必要では無かったと言う事なんでしょうか。

必要無いとは言いつつも 大きな試合で過去の引き出しを開けるかのように、たまにトゥエルブ・シックスを出してくれれば、それはそれで興奮ものなんですけどね。 

 

ついでに言っておくと トゥエルブ・シックスは結構好きな技です。

ただ棚橋に合わないんじゃ・・・と思っていただけです。