中西学のマナバウアー

中西学の一番の拘りの技は、アルゼンチンバックブリーカーですが、ある時期から唐突にもう一つの拘りの技となったのが、ジャーマンスープレックス。

中西の必殺技の中でもマイナーな部類に入るかも知れませんが、その二つの技を組み合わせて開発された技もあります。

 

アルゼンチンバックブリーカーを極めて、左右に揺さぶってから相手を自分の正面に、背後を向ける形で着地させると、そのまま富士山ジャーマンに移行する技。

この一連の流れで、マナバウアーと言います。

 

この技名を見たらすぐにピンと来ると思いますが、2006年のトリノオリンピック·フィギュアスケートで金メダルを獲得した荒川静香が得意としていて、世間でもかなり話題になった「イナバウアー」に、自分の名前をもじって命名したものです。

野人と言う割には、意外と時流に流されやすいようです。

 

イナバウアーの上体反らしを、ジャーマンのブリッジに見立てているらしいのだが、イナバウアーとは「足を前後に広げ、つま先を外に向けて滑る」事であり、厳密に言うとジャーマンスープレックスとは、全く関係のない技なのだが、まあ、中西って事で・・・

なので、足を前後に広げて、つま先を外に向けてジャーマンをすれば、百歩譲ってマナバウアーを名乗っても良いかも知れません。

その体勢でブリッジは不可能ですけどね。

 

荒川静香のイナバウアーの美しさと、自分のジャーマンの美しさをかけたのかも知れませんが、中西のジャーマンの美しさについては、高山善廣にしっかりと酷評されています(汗)

 

でもグレーゾンがあって曖昧な所があるからプロレスは面白いので、正確な定義に沿わなくてもイメージ的な問題で、技名をつけるのは実際アリでしょう。

 

本人によると通常のジャーマンスープレックスの5倍の威力が有るらしいですが、これはどう考えても言い過ぎですね。

昭和の漫画や特撮物を思わせる、謎の中西理論である

 

アルゼンチンで降ろすと同時に、相手をキャッチしてジャーマンに行けば見映えも良いし、威力がアップすると言うのも イメージ的な問題でまだ納得できます。

他の技から繋いだり、手首をクラッチしたり、旋回したりすると威力が数倍にハネ上がるのはプロレス技の常なので、そこは問題ないのですが、マナバウアーの場合 アルゼンチンで完全に降ろしてからワンテンポ置いてジャーマンに行くので、アルゼンチンの動作が全く無意味なんですよね。

 

それを知ってか知らずか、マナバウアーは余り使われる事は有りませんでした。

まぁ こっちを使うくらいなら、ヘラクレスカッターを使う方が良いですしね。