棚橋弘至「IWGPは遠いぞ」

新日本プロレスの新・旧のエースと言えば

棚橋弘至とオカダ・カズチカ。

この両者は、2012年のオカダのレインメーカーとしての凱旋以降 何度と無くIWGPヘビー級を賭けて闘って来ました。

 

世代を超えたライバルストーリーの始まりは、1.4で棚橋が鈴木みのるを倒してIWGP連続防衛記録を更新した試合後に、オカダが挑戦表明に、リング上に現れた所から始まります。

しかし この時のオカダは、今では信じられない位に、まだファンの支持を全く得られていなかったので「まだ早い!!」「顔じゃないよ!」と言う声とブーイングが、飛び交う中での挑戦表明となりました。

 

そんなオカダに向かって 棚橋は

「IWGPは遠いぞ」と一言。

これまで幾多の激闘を繰り広げ 連続防衛記録を樹立した男の自信と誇りが集約された言葉でした。

 

しかし棚橋防衛の予想が多かった中 勝ったのは、オカダ

俗に言うレインメーカーショックです。

「IWGPは遠い」と突きつけられた男が、一発でIWGPに到達してしまったのです。

これは大きな事件でしたが、これ以降は棚橋とオカダの闘いを主軸に、新日本は黄金時代を迎えて ベルトを獲ったり獲られたりの闘いを繰り返して行きます。

この頃には既に、オカダは一部のアンチを除いては、新日本ファンの支持を集め「IWGPは遠い」どころか「IWGPその物」になりつつあった中で迎えた2015年1.4 東京ドーム。

時の王者は、棚橋弘至

そして挑むのは、オカダ・カズチカ

 

ここで一気に、時代を掴むべく棚橋を倒しに言ったオカダでしたが、この日は時代を守ろうとする棚橋の執念が上回りました。

棚橋の徹底した足攻めに、何度放ったか分からない程のハイフライフロー

オカダは、棚橋の執念に敗れ去っています。

 

「くすんだ太陽」を沈ませる気持ちで、挑んだこの一戦は、オカダにとって相当な覚悟を持って挑んだ一戦だったのでしょう。

敗れたオカダは、花道を引き揚げる途中に人目も憚らずに、崩れ落ちて号泣してしまいます。

 

あのオカダが、こんな姿を見せるなんて・・・・

 

そのオカダを見ながら リング上から声をかけた棚橋

「どうだ オカダ! 悔しいか!?」と呼びかけます。

 

てっきり「その悔しさが有れば もっと強くなれる!!」的なエールを贈るのかとかと思っていましたが、まさか全くの真逆でした。

 

「IWGPは遠いぞ!!」

あの時の言葉を再び オカダに投げかけたのです!

 

エールとは程遠い まさかの突き離す言葉。

全てを賭けて挑み敗れたオカダには、手厳しい一言です。

 

SNSでは「棚橋 性格悪い」とか一部では言われてましたが、棚橋に悪意があったとは思えません。

棚橋とて 新日本の未来は”オカダ・カズチカ”である事に、異論は無い筈です。

だからこその厳しい一言。

未来の新日本の象徴に向けて 厳しい試練を課したのでしょう。

 

とは言っても確かに勝ったのは棚橋ですが、オカダはこの時点で、既に2回もIWGPを巻いています(しかも2回とも棚橋から奪取)

これだけの実績を持つ選手に今更「IWGPは遠いぞ」は、正直違和感も有りましたが、棚橋ならではのオカダの未来に期待しているからこそのコメントでしょう。

 

翌年の2016年の東京ドームでは、同一カードが組まれ 棚橋の期待に答えるかのように、オカダは見事に棚橋を乗り越えました。

これまで何度も棚橋には、勝った事はありますが東京ドームでのIWGP戦と言う大舞台で勝利した事が、大きな意味を持つ事だったのだと思います。

 

そのオカダとは逆に、棚橋はここから徐々にコンディションの悪化と供に、下降線を辿っていく事になるのが、なんとも皮肉と言うか悲しい事ですが・・・