今の時代に失われつつある新日本プロレス伝統の”ストロングスタイル”を合言葉に、鈴木軍解散後に集まった鈴木みのる、エル・デスペラード、成田蓮からなる超党派ユニット「ストロングスタイル」
このメンバーは、自分の確固たる信念の元で、強さにとことん拘り それを追求する反体制派でありながらも正しく正統派のユニットでした。
普段は3人でやっていく少数精鋭のユニットでしたが、今回のワールドタッグリーグ戦に限っては前シリーズで連戦をした本体のメンバーと成り行き上でタッグを組んで出場する事となり、鈴木は永田裕志と・・・そして成田は海野翔太と新世代タッグを組んでエントリー。
永田&鈴木組みも興味深いタッグではありますが、個人的には新日本の未来形である海野と成田のタッグには期待感に溢れていました。
主力選手の殆ど居ないタッグリーグ戦・・・新日本の未来を占う意味でも この新世代タッグには、それこそ全勝優勝する位の驀進を期待していたのですが、公式戦が始まってみれば思ったほど星は伸びず・・・最終戦を待たずして3勝3敗で、ブロック敗退が確定。
戦いぶりは、決して悪くはありませんでした。
毎試合が激闘でしたが、気になったのは負けるのがいつも海野だったと言う事・・・・普通は同格同士のチームならば、負け役になるのも分散されそうな物なんですが、何故かこのチームはいつも海野が負け・・・そして勝つ時もなぜかいつも海野
これは、たまたまなのか・・・それとも成田が敢えて勝敗に絡まない位置で試合をしていたのか・・・?
その答えが公式戦最終戦で明らかになり、誰も予想しなかった衝撃の結末を迎えてしまいました。
海野&成田の最終戦の相手は、EVIL&高橋裕二郎のハウスオブトーチャー(HOT)
若い二人にとっては一筋縄にはいかない相手ではありますが、序盤から成田はHOTにやられ場外で動けなくなってしまい、挙げ句にHOTはセコンドも介入させて 海野はローンバトルを強いられる展開に。
ようやく復帰してきた成田に、海野はタッチを求めるも成田は何とこれを拒否
一気に不穏な空気が流れます。
その後は場外まで降りて 椅子に腰掛け無表情で、苦しむ海野を眺めるばかり。これは明らかにおかしい
試合終盤になり ようやく反撃に転じた海野でしたが、この流れを断ち切ったのは、何と背後から忍び寄っていた成田でした!海野をスリーパーを締め上げると そのままEVILにパスをすると必殺のEVILで叩きつけられ撃沈。
海野&成田の敗戦…そんな事実はどうでも良い位の衝撃の裏切り劇でした。
成田はあくまで冷徹な表情で、海野の頭部にイスを振り下ろすと、HOTのシャツを身にまとい海野を踏みつけHOT入りをアピール。
これは余りにも衝撃的
強さにこだわり、ストロングスタイルにこだわり、誰よりも柴田勝頼の血を色濃く受け継いでいた筈の成田が、それとは対局に位置するHOT加入とは…数あるユニットの中でも最も考えられない選択でした。
「この時をまっていた」と成田は言いましたが、これでハッキリしたのは、このリーグ戦 成田は最初から海野とタッグを組んでマトモに試合する気など無かったという事。
タッグ結成の握手から、海野はまんまとハメられた訳です。
しかし驚きも強いですが、正直残念な気持ちもかなり強いです。
ユニットの性質上 成田は恐らくガチガチのヒール路線になるんでしょうが、成田にはやはり強さにこだわって欲しかった。
そんな思いはあります。
コスチュームも変わって変な武器とか持ってきちゃうのかな…?
賛否はあれど強い意思をもっての行動でしょうから、後は自分で決めた道をブレる事無く進むべきだとは思いますが、今回裏切られた海野の報復は今後ひとつの軸になってくるでしょう。
近い内に両者のシングルも組まれるでしょうね。
HOTに加入した事で、鈴木やデスペとも袂を分かつ形になった訳で、今後はそちらの絡みも楽しみ。
安直な道を選んだ…とも言われるかも知れませんが、ベビーフェイスよりもヒールの方が難しいとは良く言われる事なので、成田は敢えて棘の道を進んだとも言えます。
これまで築き上げてきたストロングスタイルを自らの手で壊して、ここから新たな成田像を作るのも大変だと思いますが、成田は自分なりのストロングスタイルをこれから構築しようとしているのかも知れませんね。