井上亘は好きなレスラーでした。
特にJr.ヘビー級時代は、当時の新日Jr.でも一番好きな選手でした。
そこまでの派手さは無いけど、誠実な人柄と努力の跡が見える 物凄く好感度の高い選手でしたね。
そんな井上も色々なフィニッシュホールドを開発してきて、どの技も結構好きだったんですが、ひとつだけイマイチ好きになれない技もありました。
スピアー・オブ・ジャスティスです。
スピアーを決めた後に、間髪入れずにエビ固めに移行して そのまま押さえ込んでしまう技なのですが、個人的な意見で申し訳ないですが、この技はハッキリ言って微妙でした。
この技を井上が使い出したのは、ヘビー級転向を果たして青義軍としてIWGPタックに照準を定めた2010年頃。
ヘビー級転向後のタイトル獲得に向けて新技を開発するのは良いんですが、何でスピアーを選んじゃったんでしょう?
井上は好きだったけど、井上のスピアーにそこまでの説得力は感じなかったし、スピードはともかく中西学ほどの迫力も感じなかったので、必殺技にするには正直なところ微妙な感じでした。
必殺技ならトライアングルランサーやオラシオンフレイムも充分に良い技だし、それでも良かったと思うんですけど、ここから井上はメインの必殺技としてスピアー・オブ・ジャスティスを多用していく事になります。
確かに昔から井上は、スピアーを得意技としていましたが、ハッキリ言って井上がスピアーを使う事自体に、そもそも違和感がありましたね。
それぞれ系統は違いますが、ラグビーやレスリングなどのタックルを得意とするバックボーンが有る訳でもないのに、繋ぎ技ならまだしもフィニッシュにまでしちゃうもんだから・・・
まぁ どの技を使うかなんてのは、本人の自由だし 使い勝手の問題もあるから別に良いんですけど、他にスピアーを得意技にしていたレスラーと言えば、中西、ゴールドバーグ、ライノなどバックボーンが有るか、見るからに巨漢な選手が得意としていた印象なので(使い手の全員がそうでは無いけど)井上のスピアーに関しては、物足りなさは感じていました。
もしかしたら、だからこそのスピアー・オブ・ジャスティスなのかな?
パワーや突進力不足を補う為に、スピードに乗ったスピアーですかさず抑え込みを重視したエビ固めで、フォールを奪いに行くというのは、自分の欠点を補う実に合理的な方法で、自分なりの拘りの有ったスピアーを必殺技に昇華させたとしたら、それは凄い事。
なんだかんだで、ヘビー級転向後の実績である IWGPタッグ奪取もG1タッグリーグ優勝も このスピアー・オブ・ジャスティスで、井上自らがフォールを奪って掴んだ栄冠なのだから大した物です。
井上亘は大好きなレスラーでした。
でもスピアー・オブ・ジャスティスは、余り好きな技ではありません。
でも それは個人的にトライアングルランサーやオラシオンフレイムが、好きだから・・・と言うだけだったのかも知れません。
ヘビー級転向後の井上亘を象徴する技では有りますが、余り好きではない技とはいえ、井上を応援していた身としては、有る意味思い出に残る技でも有ります。
元々は既成の技であるスピアーを 研究熱心の井上が自分なりに編み出したオリジナル技が、スピアー・オブ・ジャスティスです。