若手というのは、プロレス団体においては未来であると同時に、宝でもあります。
新日本プロレスでは、その若手の育成と格上げの方法として、古くから海外遠征という手法を取ってきており、これまで幾人もの選手が凱旋帰国を果たしてから、スターへの道を歩んできました。
人材不足に苦しんでいた時期の若手だった棚橋弘至や井上亘といった例外も有りますが、基本的には一定のキャリアを積めば海外遠征に出るのが、新日本の方針でした。
それがここにきて新たなパターンが生まれるかも知れません。
大岩陵平の修行先は海外ではなく、プロレスリング・ノア。
これは今までにはない新しいパターン。
こうなった経緯としては、シリーズを通して ノア代表としてG1クライマックスに単身参戦をしていた清宮海斗ですが、シリーズ終盤は何故か大岩とタッグを組む機会が多く これが思いの外 好感触だったのか2人は意気投合。
年齢もキャリアも清宮の方が少し上ではありますが、お互いにこれから共にやっていきたい意向を示し 大岩は「清宮さんとのタッグは心地よい」とまで言っています。
これに対して清宮が、大岩のノア参戦を呼び掛けた事で、今回の大岩のノア修行が実現する事になった訳ですが、これはなかなか面白い試みですね。
「SNSが発達してる時代なので、海外に行っても成長過程はファンの方に見られるわけで。だったら、国内のお客さんの前で試合をして見てもらう道を選びました。今までにない一歩を踏み出したい気持ちもありましたね」と大岩は、ノア修行を決意した理由を明かしましたが、確かに一理有ります。
海外に一人で修行をしにいけば、ハングリー精神を培ったり試合の作り方、魅せ方、見た事のない技や選手に触れたりと、日本にいては出来ない経験を多く積めるので、発展途上の選手にとっては、この上ない勉強の場となるでしょう。
しかし それはノアに行っても同様の事が言えますしね。
それならば情報社会の今、どこにいてもファンの目に触れるのならば、日本のファンの目の前で成長の過程を観て貰うのも一つの方法。
このパターンが今後の新日本の主流となるのか、それとも今回限りのイレギュラーな物なのか分かりませんが、それは今後の大岩の成長にかかっているとも言えます。
規模で言えば海外を転戦するよりも、ノアの方が狭い世界ではありますが、大小などに関係なくノアには、常に自由な発想で闘う天才・丸藤正道をはじめとして、日本マット随一のハードヒッターである拳王や中嶋勝彦
テクニシャンとして名高い小川良成や大原はじめ
他にもノアに行かなければ体感する事の出来ない個性的な選手が、顔を揃えているので、この修行期間がどれくらいかは分かりませんが、彼らと交わる事は、必ず大岩の成長に繋がると思います。
今回は「ノアで修行」という形になりましたが、今後もこの手法を取るのであれば、ノアに拘らずとも全日本とかでも良いし、インディー団体に出向いてみるのも良いかも知れません。
リングさえあれば プロレスはどこでも出来るし、どこの団体でも新日本には居ないタイプの選手とも闘えますからね。
大岩は「清宮とベルトも狙う」と意気込んでいるし、これからどんな闘いを見せてくれるか楽しみです。
そして何年後になるかは分かりませんが、いずれ新日本に帰ってきた時の大岩の修行の成果も含めて全てが楽しみですね。
そのままノアに移籍…なんて事も可能性としては無い訳ではありませんが…