6・12 CF系列の合同興行「サイバーファイトフェスティバル2022」の一試合として行われたNOAHvsDDTの対抗戦ですが、何とも後味の悪い結末になってしまいました。
タッグマッチでの激突ではありましたが、中嶋勝彦がKO-D無差別級王者である遠藤哲哉を張り手一発でKOしてしまい、そのまま試合は終了。
この結末には観ている人によって意見が真っ二つに分かれる所でしょうね。
中嶋はプロレス甲斐でも随一のハードヒッターで、プロレス入りの前は天才空手少年と呼ばれ全国空手道大会でも優勝している打撃の名手。
いつも中嶋を観ている人やNOAHを中心に観ている人からすれば「NOAHで中嶋がいつもやっている事」をやっただけと言うかも知れませんが、顔面への打撃に関しては、当たり所が悪ければ事故に繋がりかねません。
中嶋に関しては、大会前の記者会見で小峠篤司を腰砕けにして ブッ倒してしまっていますからね。
あれは殴り合いを前提のやり取りで顎に入れられてしまった小峠が気の毒でしか有りませんでしたが、倒れながらも張り手をする姿勢を見せたり、すぐに起き上がって中嶋に詰め寄ったりしたのには、プロ意識を感じました。
でも あれをされてしまうと「弱い」イメージが付いてしまうので、やられた側からすれば タマったもんじゃないでしょう。
それを今度は対抗戦の大舞台でやってしまったのだから、それもDDTのトップであるKO-D無差別王者である遠藤にやってしまったのだから、状況はまた変わってきます。
現在の遠藤は紛れもなくDDTのトップ。
その遠藤がアクシデントとは言え、張り手一発でKOされてしまったのでは、イメージも良くないでしょう。
NOAHに比べたらDDTは弱い・・・と言う見方をされてしまうので、DDTと遠藤にとって得する事は何もありません。
もちろん動いている相手同士なので、運悪く顎やこめかみに入ってしまう事もあるでしょう。
プロレスというジャンルの特性上、事故はしょうがないですが、そこは技を仕掛ける方の技術が問われる訳で、そうなってくると いかにダメージを抑えて受けるか・・と受ける方の技術も問われる話にもなって来ます。
本来は激しくやりあうのがプロレス!と主張する人も居ると思いますが、相手あってのプロレスなので、対戦相手を壊してしまうのは許容できない部分だと思います。
かといって加減しまくった打撃の応酬では、面白くと何ともないし、改めてプロレスの難しさを思い知らされる結果となりました。
ジャイアント馬場の教えを受けている秋山準も相手を潰しかねない顔面への攻撃への危険性を訴え、仕返しこそは考えていないと言いますが、しっかりと苦言を呈していました。
今回は脳震盪を起こしてしまった遠藤は赤っ恥をかかされた形となってしまい王座返上となってしまいましたが、この対抗戦が残した物は何だったのでしょうか?
「安全なプロレスなど無い」とは良く言いますが、信頼関係の上に成り立っているプロレスで、相手の急所にカタい打撃をいれてしまうのは、プロレスと言うジャンルを根底から覆しかねません。
中嶋の今回の件は、たまたま2回連続で事故が起こってしまっただけだと信じたいですが、プロレスに置ける顔面への攻撃は考えなければいけないのかも知れませんね。
遠藤はこんなアクシデントなんかで、へこまずに、ここから再び立ち上がって欲しいし、中嶋も好きなレスラーなので今回の件で変に小さくまとまらずに、のびのびと闘って欲しいです。
安全なプロレス・・と言うのは無理でしょうが、このアクシデントを乗り越える事でこそ、レスラーの強さを見せつけれるとも思います。