プロレスラーとしては、トップクラスの社会的知名度を誇った初代タイガーマスクですが、そのビジュアルを始めとしたキャラクター性やムーヴ。 そして華麗な技の数々は後世のレスラー達に多くの影響を与えました。
初代タイガーの技は、普通の技一つにしても その身体能力のせいで出す技の全てが凄い技に見えてしまうのですが、個人的に好きだったのはサマーソルトキック。
タイガースープレックスやジャーマンスープレックス、ラウンディングボディプレス等の必殺技が凄いのは当然として、スペースフライングタイガーアタックみたいな あの時代にそぐわないウルトラCの技も好きですが、やはり初代タイガーと言えばサマーソルトキックと言うのは、外せない部分です。
コーナーにもたれている相手に、走りこみながら片足をセカンドロープに乗せ、もう片足で相手の胸を踏みつけて、その反動を利用してバク宙で飛び上がり華麗に着地すると言う ダメージよりも魅せる事に重視を置いた技。
基本的には完全な繋ぎ技なので、サマーソルトキックを喰らった相手には、すぐに反撃に移れるだけの余力が充分に残っている為に、技を喰らった後にすぐさま攻撃を仕掛けて来る事があります。
しかし そこは初代タイガーも冷静に対処し、ショルダースルーやローリングソバット等をカウンターで喰らわせて ペースを握らせる事はありません。
ここは、流石と言うべきでしょうね。
魅せる事を重視した技をやっておきながら、あっさり反撃されたのでは元も子もないですから。
フィニッシュになる様な技は別として 初代タイガーを代表する華麗な技で、身体能力を充分に活かした技でも有ります。
しかし完全な繋ぎ技。
と言うよりも魅せ技ですね。
ですが、そこがまた良い
”闘い”を強く打ち出していた当時の新日本プロレスで、日本人選手でありながら あそこまでファンタジーを演じてみせた初代タイガーの存在は異質な物だったのかも知れませんが、単なるアニメから飛び出したキャラと言うだけでなく 初代タイガーには”闘い”と”ファンタジー”が共存していたからこそ、あそこまで社会的なブームを巻き起こしたのでしょう。
それは初代タイガーの繰り出す技の全てにも言える事です。
相手にダメージを与える要素が無いので、格闘技的には全く無駄な動きでは有りますが「お客さんとも闘うのがプロレスラー」と言う観点で見れば、サマーソルトキックは、間違い無く必殺技と言えると思います。
それでいて一定の距離を取っている為に、相手に反撃を許さないサマーソルトキックには充分に試合の中でペースを握る意味も有ったでしょう。
そして驚異的な跳躍力と しなやかな身体で舞い上がるサマーソルトキックに、魅了されたプロレスファンは相当多かった事だと思います。