小橋建太のオレンジクラッシュ

小橋建太は多くのオリジナル技を開発していますが、キャリアを重ねるに連れて使われなくなっていった技も多く存在する訳で、その中で最も惜しかった技と言えばオレンジクラッシュです。

 

ブレーンバスターの要領で、相手を垂直になるまで差し上げてから 開脚ジャンプを加えて前方に相手をボムの形で落とすと言う 高角度かつ危険な角度で落とす強烈な技なのに、使用頻度は思いの外 少なかった技です。

90年代半ばに何度か使っていた事はありますが、トップクラスとの闘いでは一度もフィニッシュになった事が無いので、”小橋の必殺技”としてのイメージは余り無いかも知れません。

当時の小橋は、まだ他の四天王に一度も勝った事も無く 格的に低い時代だったので、しょうがない部分は有るんですが、単純に技の破壊力だけで言えば、間違いなく小橋の持ち技の中でもトップクラスで、色々なレスラーが使うパワーボム系の中でもトップクラスの強烈な技だったのは間違いありません。

 

元々使用頻度は高くなかった技でしたが、NOAHに移籍してからは更に使用頻度は低くなり 2004年の秋山準戦を最後に、オレンジクラッシュは完全な封印状態となりました。

豪快で見栄えの良い技なので、封印は正直勿体ない様な気もしたんですが、本人が明確にしている訳ではないので事実は分かりませんが、理由の一つとしては小橋の膝の状態の悪化もあるでしょう。

超滞空ブレーンバスターや リアルブレーンバスターも使用していたので、出来ない事は無いんでしょうが、一旦持ち上げた所から更に相手をホイップするオレンジクラッシュの動作は、想像以上に膝に負荷が掛かるのかも知れませんね。

 

直接的な封印の要因になった試合は、1997年の三沢光晴との三冠戦だと思います。

この試合で、小橋は久々にオレンジクラッシュを出したまでは良かったものの 前方にホイップした三沢の身体が自分の膝の上に、モロに落ちてしまい両者供に大ダメージを受けてしまった事があったんです。

落とされた三沢のダメージも物凄いでしょうが、同様に状態が良く無かった小橋の膝の上に100kgを越える三沢の身体が落ちたんだから、観ているこっちも「ぎゃああああ」となってしまいます。

一歩間違えれば 小橋の膝が完全に壊れていたんじゃないかと言う位の 恐ろしい瞬間でした。

 

この失敗があったから後の封印に繋がったのでは無いか?と思っています。

 

2004年の秋山戦でも久々に出してはいますが、そこまでリスクを背負ってでも勝たなきゃいけない試合で、出さなければ勝てない秋山が相手だからこそ、思わずオレンジクラッシュを出してしまったのでしょうね。

その後の小橋の膝は、更に悪化していく事になるので、ここで完全にオレンジクラッシュは封印となり 引退まで使われる事はありませんでした。

 

もし この状態で使い続けて再び同じ失敗をしてしまえば、2013年の引退を待つ事無く 小橋建太の現役引退は、早まっていたかも知れません。