新日本プロレスや全日本プロレスで、トップ外国人として活躍したジャイアント·バーナード。
彼は一見すると強面の風貌と、タトゥーを施した巨体でパワー自慢の外国人に思われがちですが、ああ見えて高い身体能力と意外な器用さを併せ持つ外国人選手です。
当然その体格とパワーを最大に活かした強烈な技をいくつも使いますが、バイシクルキックと言う まるでバーナードからイメージが湧かないような蹴り技まで使いこなします。
要は相手に向かって走り込みながら ジャンプしての二段蹴りをする技ですが、2m1cm 163㎏の巨体にも関わらず 見事なフォームで相手の顔面に完璧にヒットさせてしまうのだから恐れ入ります。
アメリカマットでは、何度かフィニッシュにした事も有るそうですが、日本ではイマイチ説得力に欠ける印象なので、必殺技として使われた事はなく あくまで繋ぎ技としての使用に留まっていました。
日本のプロレスは、ある程度の説得力を重視する事をバーナードも分かっていたのでしょうね。 必殺技として選んだのは、バーナードボムやバーナードライバー等 迫力満点の技ばかりでしたから、バイシクルキックが繋ぎ技になったのもしょうがない事でしょう。
しかし まれに例外も存在します。
2007年のG1公式戦では、何と蝶野正洋からバイシクルキックでフォールを奪った事があるのです。
当時この結果には、驚きました。
バーナードは新日本のトップ外国人だったので、蝶野が敗れる事自体は不思議な事ではありませんが、まさか蝶野クラスの選手が、繋ぎ技のバイシクルキックで敗れた事に驚いたんです。
確かにこの時期の蝶野は、コンディションは常に悪かったですが、これまで5度の優勝を飾りG1では圧倒的な粘りを見せていた蝶野が、バーナードボムやバーナードライバーなら いざ知らず、ボルドーボムすら出されずに、バイシクルキックで負けてしまう事に、ショックを受けると同時に、少し悲しくもなりました。
もちろん186cmもある蝶野の顔面を あの巨体で的確に捉えたバーナードの身体能力とバイシクルキックの精度は特筆すべき物です。
しかし この大会が、蝶野の最後のG1となった事実からも この時のバーナードvs蝶野のバイシクルキックでの決着が、G1男と呼ばれた蝶野の終焉だったのかなと思ってしまいます。