プロレス界No.1の使い手と言えば、三沢光晴。
これに異論のある人は、居ないでしょう。
巨漢選手をも一撃で、ぶっ飛ばす程の三沢のエルボーは、実際に受けた選手は例外無く その破壊力に舌を巻きますが、フィニッシュとしての一撃だけでは無く 繋ぎ技として試合を組み立てるのに使ったり、そのバリエーションもかなり豊富だったりします。
ランニング式 フライング式 ダイビング式などの既存のエルボーを別として、三沢が初めて自ら編み出したエルボーが、ローリングエルボーとなります。
横に360°左回転しながら叩き込む右のエルボー。
回転の遠心力が加えられているので、通常のエルボーよりも破壊力では上回る訳ですが、この回転すると言うプロレス的な動きが、当時かなり大好きでした。
回転したらツヨイ!
回転したらサイキョ!
こんな単純な発想でしたが、実際にプロレス界ではリストクラッチ式やクロスアーム式と同様に、旋回式となれば破壊力は格段に増すんです!
初公開となったのは、1993年の三冠ヘビー級選手権。
スタン・ハンセンの前蹴りをキャッチして、初公開となるローリングエルボーをハンセンのコメカミに叩き込み、王座防衛に成功している。
当時 既に一度はハンセンに勝った事のある三沢でしたが、それでも まだまだハンセンの壁は高く 負ける事の方が多かった時代。
それを得意技のエルボーを進化させて ローリングエルボーで完全な勝利を奪ったのだから、その結果にも発想にも破壊力にも ハンセンはさぞ驚いたでしょう。
意味の無いような動きでもあり、プロレス的な動きでもあり、遠心力を加えると言う理に適ったローリングをする三沢が、当時メチャクチャ格好良かったのを今でも覚えています。
このハンセンからの2度目の勝利をした頃から、全日本プロレスは三沢時代を迎えて行く事になります。
「俺は黄金の左腕だが、三沢は黄金の右腕を持っている。」と敗れたハンセンが、三沢に最高級の賛辞を贈った事で、三沢のエルボーにも更なる付加価値が付く事になるのですが、残念な事にローリングエルボーに関しては、非常に隙だらけの技です。
その為に、ローリングして振り向いた瞬間に川田利明にはジャンピングハイキックを喰らうし、スティーブ・ウィリアムスには回転した瞬間に捕えられ、デンジャラスバックドロップを喰らったりと、なかなか散々な目にあっています。
それらのせいか、どうかは分かりませんがローリングエルボーでのフィニッシュ率は意外と低く、エルボー決着の場合は 最後はランニングエルボーで決める事がほとんどでした。
エルボーの連打からローリングエルボーと言うコンボは、見栄えもかなり良くて格好良かったですけどね。
晩年は、三沢自身のコンディションの悪化からローリングのスピードも遅くなり
遠心力が加わっている様には、見えなくなってしまったのが、残念ではありました。
それも全て長年の激闘で、ファンに夢を与え続けて来た結果なので、しょうがない事ではあるんですけどね。