スコット・スタイナーが、1991年にフランケンシュイナーを初公開した時は衝撃的でしたが、注目される技であればあるほど、すぐさま同系の技の使い手が現れるのがプロレス界。
武藤敬司、ダグ・ファーナスなどは早い段階から、フランケンシュタイナーを使用して自分の物としていましたが、余り知られてはいませんが獣神サンダー・ライガーもその一人です。
ライガーと言えば、そこから進化させた雪崩式フランケンシュタイナーの開発者として、そちらが有名ですし 印象も強いと思いますが、しっかりと正調式のフランケンシュタイナーも使用していた時期がありました。
恐らく時期的には、93年前後だけの短い期間だったと思います。
当時のライガーは、ウラカン・ラナ等の似た系統の技も使用していたので、フランケンシュタイナーを使った事に対しては、そこまでの驚きはありませんでしたが、正直に言うとライガーに対して フランケンシュタイナーが余り適していたとは思いませんでした。
と言うのもぶっちゃけて言うとライガーは、そこまで身体能力に優れた選手では有りません。
基本的に体の小ささを補う為の人一倍の努力で、あそこまでのレスラーに成長した典型的な努力家タイプのプロレスラー。
なのでフランケンシュタイナーの様な相手の首元に飛びつく様な、ジャンプ力を活かした技はライガーには不向きだったと言うか、ウラカン・ラナを使用していた時からそうでしたが、相手の首元に飛びつくには相手の肩に手を付いて飛び移る必要がありました。
肩に手を付いてジャンプすると言っても、別に動きを止めてモタついていた訳では無く 走って来た相手にもカウンターで仕掛ける事も出来ましたが、どうしても武藤やファーナスの様な身体能力の塊の様な選手のフランケンシュタイナーと比べると見劣りしてしまうんですよね。
なので後に雪崩式の開発に至ったのは、大成功だと思います。
雪崩式であれば、高角度から仕掛けると言っても座っている相手に仕掛けるので、跳躍力はそこまで必要はないし、現在でもライガーのオリジナル技として世界中で大流行している雪崩式フランケンシュタイナーなので、これはアイディアの勝利でしょうか。
雪崩式の開発以降は、徐々に正調式のフランケンシュタイナーは使用されなくなっていきます。
まぁ これは正解だったと思います。
ライガーのフランケンシュタイナーで、最も印象に残っているのは1993年に行なわれたディーン・マレンコとのIWGPJr.ヘビー級選手権。
苦手な相手とするマレンコの執拗な攻めに苦しめられ試合を支配されるライガーでしたが、試合終盤に明らかに不自然な位にフラフラとするライガーに対して、ここが勝機とばかりに全速力で走ってきたマレンコに対して、待ってましたとばかりに、狙い澄ましたフランケンシュタイナー!!
物凄くわざとらしく フラフラする芝居を打ってマレンコを誘い出し 作戦勝ちとも言える、余りに見事な大逆転勝利を果たしたのです。
あのフラフラは、幾らなんでもあからさまでしたが、勝機を見出して走って来た相手にカウンターで仕掛ける 最も有効な形でフランケンシュタイナーを放ったのは、さすがライガーと言う感じでしたね。