三沢光晴のタイガードライバー

実に多様な必殺技を持つ三沢光晴ですが、その中でもオリジナリティに溢れ 最も多くのレスラーに使用されている技と言えばタイガードライバーじゃないでしょうか?

 

かつて三沢が、タイガーマスクだった頃に今までの華麗なだけのイメージから脱却しようと、当時としては比較的まだ珍しかったパワーボムに目をつけ、独自の改良を加えた完全オリジナルのフィニッシュホールド。

最初に見た時は、持ち上げ方や落とし方まで、全てがカッコ良かったので、何てカッコいい技だ!と思った記憶があります。

 

三沢タイガーの代名詞だった必殺技で、素顔に戻っても変わらず使用されていた物の当時は一激必殺だった筈のタイガードライバーなのに、次第にフィニッシュになる事の方が少なくなっていきます。

圧倒的に格下の相手なら一発で充分でしたが、同格やそれに近い格の選手になると2連発は当たり前。 もしくはそれでも決まらないなんて事は、しょっちゅうでした。


田上明や秋山準との三冠戦では、何度かフィニッシュになった事はありますが、最終的に繋ぎ技程度に、技の格が落ちてしまうんですよね。

これだけの大技なんだし、確実に決めて欲しかったんですが、今でも結構好きな技だけに、勿体無かった気がします。

 

超上位互換とも言えるタイガードライバー91の開発が、通常のタイガードライバーの価値急落に繋がっていた部分は、少しは有ったかも知れません。

どんどん闘いのレベルが上がって行き、余程の技じゃなきゃフォールを奪えなくなった事は、際限なく技の過激度も増して、カウント2の応酬が旺盛した四天王プロレスの弊害と言えるのでは無いでしょうか?

川田利明や小橋建太クラスとの三冠戦で、タイガードライバーで終わる事なんて、まず有り得ませんでしたからね。

 

もう一つ残念だったのは、若き日の三沢の壁として立ちはだかっていたジャンボ鶴田やスタン・ハンセン等の大型の選手には、トライはする物の遂には一度もタイガードライバーが成功しなかった事。

特にハンセン相手に、タイガードライバーを決める場面を一度は見たかったな・・・

あの持ち上げ方なので、大型の選手には難しかったのかな?と思ってたんですが、ベイダーを見事にタイガードライバーで投げたのには、驚きでした。

 

技の巧さに関しては、流石本家と言う所か、三沢以外では同系の技の使い手は、安田忠夫、4代目タイガーマスク、鈴木鼓太郎、ブラックバファロー、リッキー・フジ、ディーン・マレンコ、ダニー・クロファット・・・と結構居るんですが、ジャンプ時の安定感や体重の乗せ方は、やはり本家の三沢が最も秀でています。

 

1990年代前半の専門誌で、三沢に対するファンの質問コーナーで「タイガードライバーって、自分のお尻は痛くないんですか?」という質問があって 三沢は「痛くないよ~~ん!」と、お茶目に答えていました(笑)。

 

あっ・・・三沢ってこんなキャラだったんだ・・・!

当時は、これもちょっとした驚きでした。