各種DDTを使いこなす橋本真也の絶対的なフィニッシュと言えば、垂直落下式DDTのイメージが最も強いと思います。
垂直落下式DDTの原型となった垂直落下式ブレーンバスターを使い始めたのが1993年頃、この技が垂直落下式DDTと命名されたのは1994年ですが、形として完成したと橋本が、ハッキリと明言したのが1995年。
その垂直落下式DDTが完成する1995年までの間に、橋本の防衛ロードを支えた技の一つが、飛びつきDDT。
そして、もう一つの切り札がフィッシャーマンDDT。
各種DDTの中でも使用回数も少なく、知名度も一番低いかも知れませんが、一撃必殺と言える橋本らしい強烈な技でした。
初公開は、1994年12月の馳浩とのIWGPヘビー級選手権。
挑戦者の馳としては、いかに橋本のDDTを封じるかが勝利のカギを握るので、秘策とも言える徹底したDDT封じの前に、橋本は思わぬ苦戦を強いられます。
その中で、橋本が繰り出したのが、何とフィッシャマンバスター!
フィッシャーマンバスターと言えば、この年に獣神サンダー・ライガーが考案した必殺技で、一躍Jr.ヘビー級を中心に大流行した技ですが、まさかスーパーヘビー級の橋本が、これを使ったと言うだけでかなりの驚きでした。
ついでに言うと馳もこの試合で、スイングDDTを公開しているので、Jr.ヘビー級で良く使われる技を、ヘビー級の両者がお互いに繰り出す予想外の展開となった試合でした。
全くの想定外だったと思われるフィッシャーマンバスターで、粘る馳を振り切り 橋本は王座防衛に成功しています。
橋本の135Kgの体重が乗ったフィッシャーマンバスターは、Jr.ヘビー級の同じ技と比較しても強烈その物で、正に一撃必殺の技でした。
ちなみに「ステップがDDTだから」と言う 垂直落下式DDTの時と同じ理屈で、試合後に橋本自らがフィッシャーマンDDTと命名。
続く1995年の1.4東京ドームでも、佐々木健介をフィッシャーマンズDDTで撃破して、このまま橋本のフィニッシュ技として定着するかと思ったんですが、間もなくして スコット・ノートンとの王座戦で、カウント2で返されています。
更に武藤敬司には、フィッシャーマンDDTを狙った所を腕ひしぎ逆十字固めに、巧みに切り返されて、完封された結果 試合にも敗れてしまいます。
それ以降は、フィッシャーマンDDTを使う事は無かったと記憶しています。
最もそれらが原因では無く、同年8月頃に橋本が”ベストフィニッシュ”と称する
垂直落下式DDTが完成したと言うのが、一番の要因だと思います。
しかし橋本曰く 一撃の破壊力では垂直落下式DDTに劣るが、フィッシャーマンDDTの方が、素早くフォールに行ける利点があるらしいのです。
そこまで素早くフォールに行けてたかな?と言う印象はありますが、当時は今みたいに誰でもやたらめったらと、垂直落下式ブレーンバスターを使っていなかった時代だったので、大流行していたフィッシャーマンバスターを使う位なら、垂直落下式ブレーンバスターと同系の技を使う方が、得策だったと言うのは充分に理解できます。
技の開発から封印まで、物凄く期間の短い可愛そうな技ではありました。