ケンカキックと言えば蝶野正洋の得意技として有名ですが、同系統の技の使い手は数多く居るのに対して「ケンカキック」として使う選手は居ません。
あれ程 人気と知名度を兼ね備えた選手の得意技だから さっさとパクられても良さそうな物なんですけどね。
しかし この蝶野のケンカキックと言う技は、三沢光晴のエルボー並みに使い勝手の良い技だと思います。
試合序盤から中盤にかけて 試合を構築するの為に繋ぎ技としても頻繁に使われ、スーパーヘビー級の相手だろうと関係なく有効な一撃となるし 試合終盤には、立派なフィニッシュ技にもなり得るとは、使い勝手が良過ぎです。
蝶野のケンカキックに関しては、まれにフィニッシュになった事も有りましたが、1990年代前半は完全な繋ぎ技でした。
基本的には、完全に繋ぎ技扱いだった物の顔面を蹴飛ばすと言うエグイ攻撃からか外国人選手には、結構嫌がられていた様です
そりゃあそうですよね
頬を張られるのだけでも 外国人は日本人に比べて嫌がる傾向なのに、それを足の裏で蹴飛ばすなんてのは、肉体的ダメージ以上にプライドに大ダメージです。
それが天山広吉とヒロ斎藤を仲間に加え 狼軍団を結成し暴れまわった1995年頃からフィニッシュとなる事が、徐々に多くなって来ました。
これまで繋ぎ技だったイメージが有った為に、最初の頃は「ケンカキックでフォールされるとか、あっけないな!」とか思っていましたが、橋本真也や佐々木健介と言った新日本のトップ選手までもが、普通にフォールを奪われる姿を見て認識も徐々に変わって来ました。
特にタッグマッチの乱戦の中で、ケンカキックを連発で繰り出しフォールを奪う場面は、何度も観たので完全に「繋ぎ~必殺技」と幅広く使えるイメージに変わっていったと思います。
「繋ぎ~必殺技」のイメージなので、自分の応援していた選手が、試合終盤でケンカキックを喰らった時は、ここでフォールを取られるか!?と言うハラハラ感もなかなかの物で、今思うと それが試合の緊張感に繋がっていた様に思います
物凄く単純な技なんですが、冷静に考えたら顔面を思い切り蹴飛ばされるなんて 痛いに決まってるしフォールを奪われたっておかしくも何とも無いんですけどね。
破壊力の方はさておき 蝶野のケンカキック
背が高く 足も長く とにかくスタイルが良かったので、見栄えが良かったんですよね。
他の選手の同系統の技は、正面向きで蹴り倒す様な感じなのに対して 蝶野は身体をやや横に向けながら蹴っていくので、そのフォームも独特でした。
個人的にはケンカキックと言う名称よりも 初期の頃に使用されていたヤクザキックの方が、しっくり来るんですけどね。
人にあだ名を付けたり、テーマ曲に代え歌を作ったりするのが大好きな橋本真也が、キックを打つ際の蝶野の顔が恐ろしい事や 顔面を蹴飛ばす非情さから「ヤクザキック」と命名して それが暫く定着していたのですが、テレビ中継のある新日本では、この名称は良くなかった・・・
暴力団に対する取り締まりが厳しくなる世間の流れに合わせて、ヤクザキックと言う名称が、テレビコードに引っ掛かるとの事で「ケンカキック」に改名されてしまいました。
未だに残念な改名で、個人的にはヤクザキックなんですけどね。
プロレス技の名前くらいは、大目に見てくれよ!!とも思いましたが、これは世間の流れなのでしょうがないですね。