アックスボンバーと言えばハルク·ホーガンの代名詞として有名ですが、そのホーガンも1990年代には新日本プロレスやSWSに、ゲストとして数回参戦した位で、日本のファンの前で試合をする事は、数える程しかありませんでした。
それ故にホーガンを除いて 使い手の殆どいなかったアックスボンバーは、日本マットでは滅多に見る事の出来ない レアな技になりつつありました。
正確には、新日本やFMWに参戦経験のあるホーガンの甥っ子のホーレス·ボウダーがアックスボンバーを使用していましたが、失礼ながら本家に比べて格落ち感が凄かったし 有名選手と言う訳でも無かったので、記憶に無い人も多いでしょう。
そんな中 突如として日本人のアックスボンバーの使い手が、現れる事になります。
大森隆男
甘いルックスと恵まれた体格に、優れた身体能力を持ち本当ならエースの資質を持っている筈なのに、どうしても殻を破る事が出来ずに、中堅に甘んじていた大森が、突如使い出したアックスボンバー。
1999年頃だったと思います。
高山善廣とノーフィアーを結成した時期と重なった事もあり これまで同期の秋山準と比べて どうにもパッとしなかった大森が、瞬く間に大ブレイク。
史上初となるアジアタッグ&世界タッグの同時戴冠を達成し 人気と共に格も急激に上がっていったのですが、そのタッグ王座を奪取した時の決め技が供に、アックスボンバーでした。
これまで優等生だった大森が、ノーフィアーを結成して挑発的な態度や威勢の良い発言を繰り返すようになった事が、ファイトのみを信条とする当時の全日本にしては、異色だからこそ注目された部分はあるかも知れませんが、大森の大ブレイクの原動力の一つとなったのは、間違いなくアックスボンバーが大きいと思います。
日本で全く使い手の居なかったアックスボンバーに目を付けたのは、新鮮だったし本人の活躍もあってか 大森の代名詞となるのに、そう時間はかかりませんでした。
あの時あのタイミングで、違う技をフィニッシュホールドに選んでいたなら あの時の大森とノーフィアーのブレイクも無かったかも知れない事を考えると 技の選定と言うのは、レスラーのキャリアを左右しかねない大事な要素だと言う事が良く分かりますね。
中でも特に印象的だったのが、2000年のチャンピオンカーニバルで、試合前からアックスボンバー連発で奇襲を仕掛け、試合時間にして僅か7秒であの秋山を倒したのは、余りにもインパクトが強すぎました。
20分越えは当たり前の当時の全日本の四天王プロレスで、秒殺と言うのはそれだけで衝撃的だったし 奇襲を仕掛けたとは言えアックスボンバーの破壊力を思い知らされました。
大森の場合は、本家とは少しフォームが違っていて インパクトの瞬間に体重を乗せやすいようにと大きく右足を振りあげるのが特徴。
これだと見栄えも良くダイナミックで、少なくとも見た目の良さと迫力では、本家ハルク・ホーガンを越えていると個人的には思います。
技の瞬間に「アックスボンバー!」と叫ぶのは、余計な気もしますけどね(笑)