1990年代の日本マット界は、2大メジャーの一つ 新日本プロレスは華やかで話題性のある東京ドームを連発する一方で、もう一つのメジャー団体 全日本プロレスは、最大のビックイベントに日本武道館を据える事に、拘りを持ち続けながら常にメジャー団体同士で切磋琢磨してきました。
そんな全日本が、東京ドームにうって出たのは1998年の事です。
経費も莫大にかかる上に、好調の新日本に対して今回のドームが不入りだと イメージ的にも悪く 会社として絶対に、失敗の許されない東京ドーム初進出
大きい大会ならば、メインイベントが非常に重要であることは言うまでもなく当時の三冠王者でエースの三沢光晴が、メインに出るのは最初から当確として「誰が三沢の相手を努めるのか?」そこに注目が集まりました。
ショーン・マイケルズや高田延彦
ドームならではの豪華な名前が、複数挙がりましたが、最終的には川田利明に決定。
いつもの日本武道館大会と変わらない 特に目新しさもない普通のカードですが、内容は保証済みで、逆にそこが全日本らしいなと思った物です。
しかし この状況だからこそメインを闘う二人のプレッシャーは相当な物だったと思いますが、プレッシャーと言う点では、川田の方が上だったかもしれません。
高校時代から追い続け今まで一度も勝った事の無い三沢が、全日本初の東京ドームの・・・しかもメインで三冠戦での対決とくれば燃えない筈が有りません。
加えて・・・vs三沢と言う点では、川田よりも僅かに下のポジションに居た筈の田上明と小橋建太にも先に、三沢越えを果たされているのだから川田には焦りもあったと思うし プレッシャーもかなり有ったと思います。
ジャイアント馬場も川田のそんな気持ちを分かっていたからこそ この闘いこそが、全日本の最高峰の闘いだと確信したのでしょう。
目を引く派手なカードよりも 普段通りの安定感のあるカードで、馬場が勝負に出たのも分かる気はします。
そして2人は、馬場の期待に答えます。
凄まじい激闘でした
素晴らしい闘いでした。
垂直落下式ブレーンバスターからのパワーボム2連発
渾身の押さえ込みで、川田利明が遂に三沢から勝利しました!!
全日本初の東京ドームのメインでの三冠戦
これだけのシチュエーションの中で、川田が目標に掲げて来た三沢越えを果たしたのです。嬉しくない筈がないでしょう。
寡黙な川田が、マイクを持って喋った言葉が
「プロレス人生で一番幸せです、今は・・・」
決して長くもないし、気の利いたセリフでも無いかも知れませんが、それでも存分に川田らしさが爆発した良いマイクだったと思います。
全日本初の東京ドームで、主役になったのは三沢じゃなくて 川田だったと言うのがサプライズでもあり これからの川田時代を予感させるには、充分過ぎるインパクトでした。
まぁ 初防衛戦でベルトを奪われちゃうのも ある意味サプライズでしたが・・・