高橋ヒロムが、海外遠征から凱旋して来るまでの新日本Jr.を支えて来たのは、紛れもなくKUSHIDAでした。
BUSHIなどの同世代のライバルも居ましたが、実績的にKUSHIDAの一強時代が長らく続いていたと言っても良いでしょう。
そんなKUSHIDAも常に王者で居た訳ではなく 2016年にBUSHIにIWGPJr.ヘビー級王座を明け渡した事があります。
歴史ある新日本Jr.だけに、これまで王者として支えて来たKUSHIDAにかかるプレッシャーは、相当な物だったでしょう。
その中で、王座を失ったKUSHIDAは思わず「チャンピオンとしての荷が下りた」と自らのブログで、ポロリ。
KUSHIDAとて王座を奪われた事は、悔しいでしょうが王者としてずっと気を張って闘い続けていたので、この言葉は本音だと思います。
王座を失ったこの時期は、リフレッシュ期間と言うか 再び王者に返り咲くまでの充電期間と考えれば、ほんの少しのインターバルですからね。
しかし そんなKUSHIDAの弱音とも言える言葉を許せない男が居ました。
当時 海外修業中の高橋ヒロムです。
「KUSHIDAは倒すべき相手」としながらも「Jr.を上にあげたい気持ちは一緒」とリスペクトをしつつ世代は違えど同志と思っていたヒロムは、ブログでこのコメントを知るや KUSHIDAに抱く感情を怒りへと変える事になります。
ヒロムからすれば、死ぬ気で新日Jr.を支えて行くと思っていたKUSHIDAが、弱音とも言える発言をしたのが、許せなかったのかも知れません。
肩の荷が下りた・・・は投げ出したかの様に、取れたのかも知れません。
この直後に、KUSHIDAはBUSHIにリマッチを挑み 間を置かずに王座奪回をしているので、新日Jr.を支えて行く気持ちに変わりは、無かったのだと思います。
ただプロレスラーとして誰よりもKUSHIDAの事を認め 凱旋後はそのKUSHIDAと凌ぎを削りながら新日Jr.を支えて行く覚悟を持っていたヒロムとしては、あの発言だけは絶対に、許せなかったのでしょう。
そして2016年末に、ヒロムは衝撃の凱旋を果たし 2017年の1.4で、KUSHIDAの持つ王座に初挑戦すると 何と一発で、IWGPJr.ヘビー級を奪取してしまいます。
新世代の新王者が生まれた訳ですが
「何も背負わずにプロレスを楽しんで下さい」
と3年半に渡り 新日Jr.を支えて来たKUSHIDAに対して、強烈な皮肉とも取れる言葉を投げつけます。
これは、オカダ・カズチカ風に言うなら
「新日Jr.は自分が支えていくので、今までお疲れさまでした」と言う事に他ならないでしょう。
このヒロムのKUSHIDAに対する皮肉には、これからの新日Jr.は全て自分が背負って行くとの宣言と同じ事なので、ヒロムの覚悟も垣間見えました。
KUSHIDAとしても 新日本を背負う気が無いとか 一戦を退く気なんてサラサラ無かったのでしょうが、2020年の現在では、KUSHIDAは己の長年の夢であったWWEに旅立ち 獣神サンダー・ライガーの引退後の新日Jr.は、ヒロムが支えている形になっています。
あのヒロムの皮肉とも言える言葉が、少し状況は違えど現実になっているのが、何とも皮肉な話です。