小柄な体格ながら、確かな技術とセンス、そして身体能力で、インディー団体から日本最大手の新日本プロレス、世界最大のWWEにまで登りつめたKUSHIDA。
日本のメディアでの露出度で言えば、新日本Jr.のエースと呼ばれるようになってからのKUSHIDAが、最も多い時代なので、見ている側にも最も印象に残っていると思います。
なのでKUSHIDAの必殺技と言えば、ホバーボードロックやバックトゥ・ザ・フューチャーをイメージする人が多いんじゃないでしょうか。
しかしインディー時代や新日本移籍後の2014年に、ホバーボードロックを開発するまでは、ミッドナイトエクスプレスを必殺技として使用していました。
以前は”KUSHIDAと言えばミッドナイトエクスプレス”と言う位に代名詞的な技で、あのプリンス・デヴィットからもフォールを奪った事があります。
ムーンサルトプレスの要領で、360゜錐揉み回転を加えながら後方宙返り
相手を体全体で、プレスする技。
スカイツイスタープレスと同形ですが、KUSHIDAがデビューしたハッスルの消滅後に、海外に武者修行に出た際に身につけた技で、当時はコークスクリュー式ムーンサルトとも呼ばれていましたが、凱旋帰国試合でもある 2010年のSMASH旗揚げ戦でのメインイベントで初公開。
対戦相手は、それまで主戦場にしていたハッスルで。散々煮え湯を飲まされ続けてきた宿敵の大原はじめを新たな必殺技で仕留め、雪辱に成功している。
KUSHIDAは、デビュー間も無い頃から、ムーンサルトプレスは得意にしていたし、何なら小学生の頃から会得していたムーンサルトプレスに横回転を加えた この技は、その身体能力を考えたら、高度な技とは言え ごくごく自然な進化だったのかも知れません。
しかし この技は自身の膝に架かる負担も大きい為か、上記にもあげた様に2014年には、ホバーボードロックを習得した事により、ミッドナイトエクスプレスは使用される事も無くなってしまいます。
この技は、カッコイイので大好きな技だったので、残念な気持ちは有りましたが、いずれその時が来れば再び使う事もあるだろう・・・と思っていたら、意外とその時は早くに訪れました。
2015年6月 ベスト・オブ・ザ・スーパーJr.優勝決定戦でのカイル・オライリー戦。
KUSHIDAは、前年も決勝戦まで進みながらも惜しくも敗れ準優勝に終わっているので、初出場から数えて6年目の悲願の初優勝をかけた この一戦は、自身のキャリアの集対戦とも言える大事な一戦。
実力者のオライリーとあってKUSHIDAは大苦戦を強いられますが、試合終盤に飛び出したのは、一年ぶりに封印を解いたミッドナイトエクスプレス!
疲労とダメージの為か、身体が少し横にズレてしまい、オライリーの頭をかすめた程度に終わってしまい、残念ながらこれで3カウントを奪う事は出来ませんでした。
結果的にKUSHIDAが、ホバーボードロックで勝利して悲願の初優勝を果たしているのですが、個人的には あそこで放ったミッドナイトエクスプレスが忘れられません。
確かに当たりこそ浅くて、あれは失敗だったかもしれませんが、封印していた筈の技を この大舞台で繰り出した所は、KUSHIDAの勝利への執念が最も良く感じ取れた場面だった様な気もします。
大原戦やデヴィット戦など大事な試合で、ミッドナイトエクスプレスがフィニッシュとなった場面は有るかも知れませんが、個人的には失敗だったとは言え、このオライリーとの決勝でのミッドナイトエクスプレスこそが、至高の名場面だったと思います。
迫力満点に決まった技
美しく決まった技
確かにそれらも大事な要素ですが、プロレスを語るにはその背景や経緯も大事な要素ですからね。
今でこそ 余り見られない大技になってしまいましたが、出来れば大一番での舞台で再びKUSHIDAが華麗に宙を舞う姿を見たい物ですね。
KUSHIDAのミッドナイトエクスプレス大好きでした。