中嶋勝彦はイメージ的には、切れ味鋭く重い蹴りの印象が強いですが、現在のフィニッシュホールドは、通称ヴァーティカルスパイク。
いわゆる垂直落下式ブレーンバスターですね。
垂直落下式ブレーンバスターと同じ技といっても、中嶋は特にパワーがある訳でも上背がある訳でも無いのに、何故か中嶋の垂直落下式ブレーンバスターには、妙な説得力があるんですよね。
そこまでの中嶋の攻撃が強烈すぎて相手に与えているダメージが伝わりやすい為か、終盤にヴァーティカルスパイクが炸裂したら「あっ 終わった」と感じてしまいます。
必殺技に行くまでの流れで、必殺技に説得力を持たせるのも大事な事だと思いますが、それを抜きにしても やっぱり中嶋のヴァーティカルスパイクは、説得力に溢れています。
色々なリングで色々な選手が、同型の技を使用しますが、昨今の乱発傾向により一発では決まらない事も決して珍しくはありません。
しかし中嶋のヴァーティカルスパイクに関しては、一撃必殺でも全く違和感は無いんじゃないでしょうか。
個人的なベストヴァーティカルスパイクは、新日本プロレスとの対抗戦で鷹木信悟に決めた一発。
あの時は、下に落とすスピードが物凄く早く あのシーンを見た時は「鷹木負けた!」と思いましたが、ここは鷹木が何と意地のカウント2。
あれを受けて 良くも返せた物だなぁと・・鷹木のタフネスも素晴らしいですが、逆に言えば 技を返されて、そこまでの驚きがあったのは、それだけ中嶋のヴァーティカルスパイクに説得力があったとも言えるでしょう。
ヴァーティカルスパイクを正式に必殺技とする前の中嶋は、かつてツイスターとして旋回式垂直落下式ブレーンバスターを頻繁にフィニッシュに使用していた時期があります。
普通の垂直落下式ではなく、上位概念のイメージのある旋回式を奥の手にして使い続けても良さそうな物ですが、敢えて普通の垂直落下式をメインにしている所は、中嶋の拘りでしょうか?
当時のノアには、旋回式垂直落下式ブレーンバスター(タッチアウト)を奥の手にしていた金丸義信が居たので、中嶋もノアを主戦場にする以上は、モロ被りだから・・という事情も少なからずあったとは思います。
後からノアにやってきた中嶋の辛い所でしょうか(汗)
2016年に、鈴木みのるとの一騎打ちを
垂直落下式ブレーンバスターで制した際に、ヴァーティカル・スパイクと命名され正式に中嶋のフィニッシャーとなった訳ですが、今となってはヴァーティカルスパイクが、中嶋の必殺技となって良かったとも思います。
中嶋にはデスロールなどの得意の蹴り技に拘って欲しかったと思っていた事もあったし、ダイヤモンドボムやツイスターも悪くは無いです。
でも単純に”強さ”をウリに出来る中嶋には、持ち上げて頭から垂直に落とすだけの単純な技でも、その強さは充分に伝わるし、それが一番中嶋勝彦らしいのではないでしょうか?