2月21日に現役引退をする武藤敬司ですが、故郷ともいえる新日本プロレスでの最後の試合として 1・4東京ドーム大会で、武藤と繋がりの深い豪華メンバーを集めた6人タッグマッチが行われました。
武藤敬司&棚橋弘至&海野翔太 vs 内藤哲也 & SANADA & BUSHI
この中で武藤との師弟関係が良くピックアップされるのは棚橋ですが、棚橋は昨年にタッグながら2度も対戦しているので、今度は敢えてパートナーに落ち着いて、相手には内藤が選ばれたのは良かったですね。
プロレスファン時代から内藤は、武藤に強い憧れを抱いており、プロレスラー内藤に、大きな影響を与えた選手ですが、現在の内藤はあのキャラクターもあり武藤への想いは、当に捨てたと言い張ってはいますが、心の奥底には武藤に対する尊敬の念は今尚残っていると思います。
内藤が武藤と過去に闘ったのは2012年なので、実に久々の対戦になりますが、制御不能男となってからは、最初にして最後の遭遇となります。
SANADAとBUSHIは、全日本時代に遡って師弟関係で結ばれているので、ここも久々の再会。
武藤の影響を強く受けた3人が、ちょうどロスインゴに3人も居たのは、幸いだったか晴れて豪華な6人タッグが実現しました。
ゴングがなれば開始早々にSANADAが、武藤に対してラウンディングボディプレスを仕掛けて いきなり見せ場を作ると、何と武藤も対抗意識を燃やしたのか、禁止されている筈のムーンサルトプレスを狙ってコーナーに駆け上がります!
これは流石に、パートナーの棚橋が静止して、どうにか未遂に終わっていますが、ここで勢いに任せて飛んでいたら、引退試合を待たずして武藤は壊れていたかも知れません。
「静止される事前提のムーンサルト狙いでしょ?」と言うのは、言いっこ無しです。
決着は武藤のシャイニン弾のアシストを受けて、海野がデスライダーでBUSHIをピンフォール。
この中で、唯一武藤とは何の関係も無い海野ですが
武藤に憧れる棚橋に憧れる海野・・・
といった具合に確かに系譜は繋がっており、3世代に渡る新日本エースの揃い踏みといった見方も出来ます。
だからこそ最後に、武藤の眼前で未来の新日本エースが試合を締めた事にも意味が有ったのかも知れませんね。
現在はノア所属の武藤ですが、新日本の未来に少しだけ触れる事が出来て、少しは安心してくれたんじゃないでしょうか?
新日本でのラストマッチを終えて6選手の中には、どんな思いがあったのでしょうか?
今後 新日本の選手達は、恐らく武藤と闘う事はもう無いでしょうが、最後に武藤と闘えた事は彼等にとっても財産となる筈。
武藤は50代後半になってもメジャー団体の王座を奪取する等、時代の流れに抗う活躍を見せていたので、まだ40代半ばでありながらコンデシションの悪化も有り、活躍の場からは遠ざかりつつある棚橋と内藤だって まだまだやれる筈です。
膝が悪いという共通点は有りますが、ここは武藤の意思を継いでまだまだ踏ん張って欲しいですね!
最近はやや、影の薄くなっているSANADAとBUSHIも武藤張りに、自分がもっと目立つ事を考えて「前へ前へ」の精神で、グイグイ言っても良いと思います。 特にBUSHIなんかは、他のロスインゴのメンバーのバイブレイヤーに徹している面もあるので、そこは良い意味で武藤の「目立ちたがり」を見習ってほしい所です。
まだ若い海野は、間近で武藤のファイトを見て何を思ったでしょうか?
お世辞にも動きが良いとは言えない、現在の武藤ですがそれでも ちゃんと試合を作り、要所要所で緩急のついた試合運びを見せる事の出来る武藤のファイトは、大いに参考になった事でしょう。
師弟関係こそありませんが、かつて武藤が努めていた新日本のエースという大役を将来的に努める事になるのは、間違い無く海野なのですから、エースの継承という意味でも 海野の歴史上この試合が重要な試合だったと言う事になるかも知れませんね。
長年 新日本を支えた希代の天才レスラー・武藤敬司は、この日が最後の新日本になった訳ですが、武藤の精神は”現在”を生きる新日本の選手達にも引き継がれた筈です。
武藤の引退までは、まだ時間はありますが、この日限りで新日本と武藤敬司の歴史は終わりを迎えました。
かつて武藤の付き人を努めていた棚橋弘至は「最後に武藤さんのシューズを脱がせてあげたい」と語っており、試合後に、武藤と共に引き上げていく姿がありましたが、二人の周りだけ まるで25年前に戻っているかの様でした。