90年代前半の全日本プロレスで、絶大な人気を誇っていた超世代軍ですが、その中で唯一のJr.ヘビー級戦士だったのが菊池毅。
彼はある意味可愛そうでしたよね。
超世代軍の相手は、もっぱら鶴田軍なのでジャンボ鶴田や田上明と 日本人選手全体で見ても屈指の体格を誇るヘビー級戦士が相手だったので、余りにも体格が違いすぎる菊池が可哀想に見えて来る事が何度もありました。
もちろん菊池本人は、そんな事を思われても「大きなお世話だ」と突っぱねるでしょうが、体格差を物ともせずに果敢に突っ込んで行く姿が、菊池の魅力的な所でもあり そこが「火の玉小僧」と言われた所以でもあるのでしょう。
突撃して行っても 逆にハネ返される姿を何度も目撃して来ましたが、その度に菊池は諦める事無く 何度も何度も向かって行きました。
どうしても そんな姿が印象に残ってる菊池ですから、何度もエルボーで打ちこんでいく姿･･･そしてゼロ戦キックを打ちこんでいく姿が、物凄く印象的です。
そんなイメージのある菊池なので、ゼロ戦キックは菊池の技でも一番好きな技です。
必殺技だったジャーマンスープレックスや火の玉ボムよりも 菊池のイメージだし何より好きな技です。
ゼロ戦キックは、相手に走り込んでジャンプしながら身体を翻して 膝の裏、もしくは脹脛の裏で蹴りを浴びせていく独特な蹴り技。
決まった形だけ見れば、フライングニールキックと同じですが、フライングニールキックの様に大きく回転は加えないので、威力面では正直劣るかも知れません。
でも そんな事はどうでも良いんです。
とにかく菊池が、自分よりも大きい相手に怯む事無く 勇猛果敢にゼロ戦キックを何発も叩き込んで行くのが大好きでした。
菊池毅が1990年に開発した技で、長いキャリアの中でも一貫して使い続けており 決してフィニッシュにする事こそ無かった物の 一試合に何発も繰り出して試合を構成するのに大いに役立っていた技。
本人曰く「俺にとってはドロップキックの様なもの」
良い技だったのに、パクリ上等のプロレス界で他の使い手が余り現れなかったのが、不思議な位です。
さすがに晩年は、ゼロ戦キックにも勢いが無くなり 足を当ててるだけの感があったのですが、長年の突貫ファイトで全身ボロボロの菊池なんで、これはしょうがない事だし 激戦の勲章と捉えるべきでしょうか。
開発当初のゼロ戦キックは、正に火の玉小僧と呼ぶに相応しい 相手に突撃する感じの気迫溢れた一発だったので、本当に大好きでした。