旧全日本プロレスの選手にしては、珍しくレガースを着用して 蹴りを多用する川田利明ですが、一口に蹴りと言っても 川田の蹴りはUWFの蹴りとは、似て非なるものです。
UWFのを格闘技的な蹴りとするなら、川田のはプロレス的な蹴りと言うべきでしょうか。
川田も勿論きちんと蹴りの練習はしていますが、とにかく相手をボコボコに蹴りまくる…と言うか蹴っ飛ばす…そんな蹴り技を使うのが川田の魅力だと思っています。
川田の蹴りで好きなのは、断トツでジャンピングハイキックなんですが、コーナーに詰めた相手に対してセカンドロープまで駆け上がっての蹴りやステップキックも川田らしくて好きですけど、地味な部類かも知れませんがランニングハイキックなんかも好きだったりします。
ランニングハイキックは、走り込んで足の裏で思い切り顔面を蹴っ飛ばすだけのかなり単純な技で、格闘技で言う所の前蹴り。
走り込んでの前蹴りですね。
かなり初期の頃から 晩年まで長期に渡って使い続けていた技で、棒立ちの相手やカウンター式。
あるいは相手がコーナーにもたれている時の串刺し式として、あらゆる場面で繰り出される技。
華麗な蹴り技…と言う訳にはいきませんが、この武骨なまでに単純に相手を蹴っ飛ばす この川田の蹴りが、とにかく大好きでした。
スタン·ハンセンやスティーブ·ウィリアムスら大きくて怖い外国人の顔面も躊躇無く蹴飛ばしていったのだから、川田の度胸は大したものですよね。
四天王と呼ばれトップ選手になってからいざ知らず、まだまだ力量不足の若い頃から外国人の顔面をとにかく蹴りにいってましたから。
外国人からすれば顔面をビンタされたりするのは屈辱的な行為なのですが、それを足の裏で蹴っ飛ばしにいくなんて もっての他
案の定 その度に川田は、ボコボコにされますが、それでも何度も起き上がり また蹴りにいく……こんな無茶をする川田はメチャメチャ応援したくなる存在でした。
基本的には繋ぎとしての使用ですが、2002年頃は何故かフィニッシュとして多用しており、安生洋二、藤原喜明
そして何と、天龍源一郎からもランニングハイキックで、フォールを奪った事もあります。
何故この時期に、少しだけフィニッシュに使い出したのかは定かではありませんが、繋ぎ技としても充分に輝きを放っていた技だと思います。
三沢光晴にエルボーで倒されても、すぐに起き上がりランニングハイキック!
蝶野正洋とのケンカキックと ランニングハイキックの撃ち合い。
この技に関する名場面は多々あるように、川田の試合では絶対に欠かせない技だったと思うし、負けず嫌いで武骨なキャラクターの”川田利明”と言うレスラーを 実に良く表現した技だとも思います。
現在ではビックブーツと言う呼び名も一般化していますが、川田がこの技を使いだした90年代前半には、まだそんな呼び名も存在していなかった事もあり、川田の走り込んでのフロントキックは、やはりランニングハイキック。
人によっては、全く違う技名で呼ぶ人もいると思いますが、川田のはランニングハイキックです。
これだけは譲れません(笑)。