田上明というレスラーは、世間的には四天王の中でも目立たない存在だと思いますが、ああ見えても意外に器用で、身体能力も高く技の開発にも余念がない素晴らしい選手です。
研究熱心な田上は、自身の代名詞である喉輪落としから数多くの派生技を生み出しており、その中でも個人的に一番好きな喉輪落としは、ダントツで筑波薪割りです。
相手の喉を鷲掴み、そのままロープ際まで押し込むと そのロープの反動を利用して、空中に大きく弧を描きながら旋回させて放つ変形の喉輪落とし。
完全な田上のオリジナル技で、カッコ良いイメージは皆無の田上ですが、この技を決めてる時はカッコ良いんです。
2005年のGHC王者時代の森嶋猛との防衛戦で初公開し、見事に巨漢の森嶋に筑波薪割りを成功させ、かつての愛弟子の挑戦を退けている。
左右の袈裟斬りチョップ連打で、ロープ際まで追い込み、喉輪でロープに押し付けてから筑波薪割りに移行する一連の流れは、本当に素晴らしかったと思います。
喉輪落としは基本的に、動きを止めて仕掛ける技ですが、筑波薪割りに関しては袈裟斬り連打からを一つのムーブとすると、リング上を大きく動いて決める技なので、非常に見栄えも迫力もあって 実に見応えのある技になっています。
これを あの森嶋にあれだけスピーディに決めてみせたのだから、田上のナチュラルなパワーは凄い物があります。
田上のバリエーションの中では、一番好きな喉輪落としだったのですが、田上的には一番使いやすいのは「俺が田上」だったようで、筑波薪割りは使用頻度が高くもなく ランクも高い訳では無かったのが、少々残念でした。
田上本人は、そこまで好きな技では無かったのかも知れませんが、僕は大好きな技の一つでした。
これまで田上を格好良いと思った事など一回も無かったのに、森嶋の巨体を筑波薪割りでブン投げている姿を見た時は、不覚にも田上を格好良いと思ってしまいました(笑)
いや「不覚にも」とか言っちゃうのは失礼ですね。
でも あんなにスピーディな喉輪落としは、見た事が無かったので、田上の発想力には本当に驚かされました。
袈裟斬りで押し込む
ロープの反動を利用する
空中で大きく旋回させる
これだけの要素を含んでいる喉輪落としなのだから、もっと上位に位置する技でも良かったと思うんですけどね・・・
この技ほんと好きなんで、誰か継承してくれないかな？