永田裕志の得意技ナガタロックはⅠ~Ⅳの計4種類。
それぞれ使用頻度や威力には当然ながら差はありますが、その中でも技のランク的に比較的上位に位置するのが、ナガタロックⅢでしょうか。
Ⅲは相手の上半身を完全に極めて身動きを封じる一番の拷問技なので、一度極まれば なかなか脱出の難しい技ではあるので、ここぞの場面でのみ繰り出す技です。
それでも意地や執念だけで、技を耐え抜きギブアップだけは絶対にしない選手も中には居ます。 そうなった時にレフリーが、奪取不可能と判断してTKOにしてくれれば良いのですが、試合を止めるかどうかは、レフリーの匙加減だし、相手が逃れようと必死にもがいていれば その時点で試合を止められる事は、まずありません。
そんな場合にも「ギブアップを奪う」事には拘らず「勝つ」事を最優先したナガタロックの番外編とも言える技が、非常にレアな使用頻度ですが実は存在しています。
それが、リバースナガタロックⅢ
ナガタロックⅢの体勢のまま 相手を横に転がして両腕を極めたままマットに肩をつけて
フォールの体勢に以降する技で、通常のナガタロックシリーズの様に、ギブアップを奪う技ではなくフォールを狙う技。
あくまで、ナガタロックⅢの延長線上にある技なので、ナンバリングはされずに リバースナガタロックⅢとして番外編の位置付けでカウントされています。
初公開は2006年の新日本プロレスVSブラック・ニュージャパンの大将戦として行われた スコット・ノートンとの一戦。
規格外の超竜パワーに、とことん苦しめられた永田でしたが、当時の新日本のエースとして負けられない永田は、この新技で見事にノートンを丸め込み 大逆転勝利を収めています。
ノートンからギブアップを奪うのは、そうそう容易い事では無いでしょうが、ギブアップを奪うよりも 絞めあげて弱らせた所を3秒間だけ丸め込む方が、遥かに確実に勝てる方法なのは間違い無く 頭脳派の永田らしい理に適った必勝パターンですね。
決して頻繁に使う訳ではないが初公開以降は、蝶野正洋や中邑真輔などのトップ選手から
フォールを奪うなどして、要所要所で効果的に使用していました。
弟の克彦の応援に、アテネ・オリンピック観戦に行った際にイメージが出来上がり、トレーニングを積み重ねた末に完成させたと言いますが、同じレスリングの猛者である永田だけに、世界の一流選手達の試合を観て、感じる所や学べる所を見つける事が出来たのかも知れません。
残念な事に最近では、 リバースナガタロックⅢ は余り使われなくなってしまいましたが、技の開発から年月が過ぎて、さすがの永田も肉体的に全盛期は過ぎてしまい ここ数年は勝率も余り芳しくありません。
現在のトップ選手達に、必殺技のバックドロップホールドやナガタロックで勝つ事が難しいのなら、この リバースナガタロックⅢ を久々に繰り出せば、充分に勝てる可能性は有るとおもうんですけどね。
永田の本音としては、力で叩きのめしてフォールを奪うか、相手にギブアップの意志表示させる勝ち方が望ましいのでしょうが、丸め込みでも勝ちは勝ち。
引退まではIWGPを狙い続けると言ってる以上は、例え丸め込みでの勝利でも 貪欲に勝ちに行って欲しいです。 大舞台で強豪選手に勝利する永田裕志をもう一度見てみたい!!
元々、打撃技、関節技、投げ技など何でも器用にそつなくこなす永田だっただけに、 リバースナガタロックⅢ は更に 永田のオールラウンドの可能性を広げた技だったと思います。