2022年の新日本プロレスvsNOAHの全面対抗戦は、新日本の勝ち越しと言う形で幕を閉じましたが、その中でも注目の一戦だったのはLIJvs金剛の人気ユニット同士の総力戦。
「業界一位の新日本に挑む」と言う形を金剛のリーダー拳王も強調しており、なおかつ「プロレス界の序列を覆してやる」とハッキリと言いきりました。
これは「自分達がやってきたプロレスは、新日本に絶対に負けない!」と言う強い自信とプライドの表れと言えるでしょう。
同時にその図式を自ら強調して、誰にも分かりやすい明確な対立構造を作り上げた、拳王は流石です。
この明確な対立構造があったからこそ、純粋な対戦カードの面白さや、試合内容の面白さとは別の「明確な闘う意味」が提示され多くの人の関心を惹く事になりました。
大会のベストバウトとも言える試合の末に、鷹木信悟がタダスケを撃破して、注目の一戦はLIJの勝利に終わります。
試合後にコメントを残した内藤哲也や鷹木とは対照的に、屈辱の敗戦を喫した金剛は、誰一人して言葉を発すること無く会場を後にしていきます。
この注目の大一番を終えて喋らない事に、一部のファンやマスコミからは「発信力に欠ける」とまで批判されていましたが、個人的にはやはり ここで拳王の言葉を聞きたかったと言うのは確かにあります。
発信力に欠けるとまでは言いませんが、屈辱の敗戦をした事で、拳王が何を思っているのか?今後の展開は? そこいらの部分を拳王に語って貰いたかったと言う点では、やはり発信すべきだった……そう思っていました。
しかし その後のインタビューで、拳王が敢えて発信しなかった理由を語ります。
「プロレスは戦いだろ。対抗戦は結果が全てで、何を言っても負け惜しみ、負け犬の遠ぼえ。新日本はどうだか知らないが、あそこで負けてベラベラしゃべってるレスラーを見たいんだったら、そんなヤツはもう俺達の試合を見に来なくて良いよ」
「あれだけデカい事を言って負けた。それは受け入れなくてはいけない。あそこで負け惜しみを言える程、俺にとっては軽い戦いじゃなかった」
なるほど
試合後に拳王に語って欲しかった一方で、拳王の言う事も物凄く理解できます。
負けを潔く受け入れた上で、負け惜しみみたいな事を言いたくなかったからこそ、何も喋らなかったのであれば、それも充分に理解できる言い分です。
「こんなので勝ったと思うなよ」
「俺は負けてねーぞ」
「もう一回やらせろ!」
負けた選手がこう言うコメントを残すのは良く有りますが、確かにこう言うのは負け惜しみと言うか・・・見苦しく見える場合もありますからね。
それを考えたら 拳王の姿勢は男らしいのかも知れません。
「もう一回やらせろ」と言うのは、当然思っているでしょうが、試合後にそれを言わない辺りが拳王の美学なんでしょう。
再戦がいずれ実現した時に、今度は勝つ事が出来ればその時こそ拳王は、マシンガンの様に喋りまくってくれる事でしょう(笑)。
強い思いを持って挑んだ一戦に敗れた拳王
敗者は語らず黙って去るのが、拳王の美学ならその美学を貫いた拳王は、とても男らしくカッコ良かったと思います。