清宮の決意。新たな出発

新日本プロレスとNOAHの全面対抗戦で、キャリアの中でも特に悔しいと思われる無念の敗戦を喫してしまったNOAHの清宮海斗でしたが、清宮は腐りませんでした。

落ち込みませんでした。

あの敗戦から僅か2日ですが、清宮は早くも動き出しました。

 

1.10 NOAHの横浜ラジアントホール大会で行われた清宮vsスペル・クレイジーの一戦ですが、優れた技術を持つ実力者が相手なだけに、清宮も苦戦を強いられる場面がありましたが、最後はタイガースープレックスで貫録のフォール勝ち。

対抗戦でのオカダ・カズチカ&棚橋弘至との闘いでは、惨敗とも言える敗戦だっただけに、その後の清宮が少し心配では有ったのですが、どうやら心配はなさそうです。

あの時の号泣で、全てがフッきれたのか・・・いつもの元気なファイトで、あの対抗戦以来 初のシングルでキッチリ完勝しているのだから、心配はいらないでしょう。

 

試合後には、あの敗戦を引きずる様子もなく

「色んな事を痛感しました。でも今年は本当に止まっていられないから。ノアのために今年はやっていくんで!」

とスランプに苦しんでいた去年からの状態の脱却。

そして今年の飛躍を誓っていました。

 

更にオカダから「悔しいなら新日本プロレスに来ればいい」と提案された事についても

「新日本に行ったらノアと違う経験はできると思うんですよね。色んな世界があると思うので。だけど今、俺が大事にしたい世界はノアだから。負けてるから偉そうな事は言えないですけど、ここでやっていきたいですね。」

と違う世界に飛び込む事で、これまでとは違う経験も出来るのは充分に理解している上で、今はNOAHを盛り上げつつ NOAHの闘いで強くなる道を清宮は選びました。

 

確かに新日本に来れば、海千山千の第三世代との対戦、試合をメチャクチャにしてくる相手との対戦や、世界レベルの外国人との対戦。

NOAHに居ては経験できない事も沢山あるでしょうが、NOAHでしか経験出来ない事も沢山あるので、どちらの道に進む事が正解だったのかは、正直誰にも分かりません。

新日本に行って これまでとは違う経験を積む事で、飛躍的に成長を遂げる可能性も有れば、今まで通りのNOAHの闘いに身を置く事で、NOAHの絶対王者とまで呼ばれる存在になるかも知れません。

 

現時点では、どちらが良かったのか分からないこそ・・・清宮は今の決断を後悔しない様に、大事に貴重な20代でのキャリアを重ねて行って欲しいと思います。

 

対抗戦での敗戦についても、冷静に分析しており

「技術とか技とかじゃなくて、試合全体を把握する力に差を凄く感じて。視野を広くして、先を考えたりする部分ですね。それがなければ、技術も生かせないと思いました。」

自分の中で、屈辱の敗戦を素直に受け入れ、それを認めてオカダと自分の間にある 圧倒的な差を冷静に分析する辺りは、本当に素晴らしいです。

 

自分の中でここまで答えが出ているのなら、清宮は間違いなく強くなります。

あの時に流した悔し涙の分だけ、清宮は絶対に強くなります!

 

現時点ではオカダとの間には、まだまだ大きな差が有るかも知れませんが、その差が埋まるのはそう遠くない将来じゃないでしょうか。

清宮はまだ25歳

伸び代を考えてもオカダと立場を逆転させる事も 清宮ならば可能だと思います。

 

その為には、まずはNOAH内での闘いの充実。

ナショナル戦で敗れた拳王へのリベンジ

GHCヘビー級の奪回

悲願の武藤敬司越え

 

次に新日本と対峙するのはいつになるのかは分かりませんが、清宮にはやる事はまだまだ沢山あります。

「俺は今までプロレスを断片的に見ていたんだと思います。試合をしても良い試合したか、してないかとか。でもプロレスって、そうじゃないんだなって。この団体を大きくするのが自分の一番やりたい事で、そこに向かう日々全てがプロレスなんだと気づきました。

去年どん底を見ましたから。ここまできたら進むしかない。越えなきゃいけない壁も沢山ありますから、人生かけてやってやります!」

 

最後に明るい表情でこう語った清宮は、あの敗戦を受け入れつつも 既に”未来”しか見ていませんでした。

箱舟の未来と言われた男は、紛れも無くプロレス界の未来でもあります。

 

5年後・・・10年後の清宮は、どんな素晴らしいレスラーに成長しているのでしょうか??