小峠篤司のオーバーキルスイッチ

中腰の相手に対して正面から背中合わせで、内側から片腕ずつ自身の両腕に絡め取り そのままの体勢で、相手の体もろとも180°反転すると自らが中腰になり、その背中上に相手の上半身が乗る形になる

そこから上半身を仰け反らす様に、後方に倒れ込むと相手は持ち上げられた勢いで、うつ伏せに押し潰される形で、マットに叩きつけられる。

 

小峠篤司の得意技で、2014年に永遠のライバル原田大輔とのGHCJr.ヘビー級選手権で初公開した技だが、小峠の得意とするキルスイッチの上位互換。

通常のキルスイッチとは、入り方こそ違うが最終的には、ほぼ同じ形。

しかし、その落差は段違いなので破壊力の差は歴然で、オーバーキルスイッチの名の通り これが決まれば確実に3カウントを奪える破壊力を持っている。

 

小峠自身が認めた相手か、余程の大一番でしか使わない小峠最強の大技。

 

初公開となったのは、大阪プロレス時代からの盟友であり、最大のライバルである原田大輔とのGHCJr.ヘビー級選手権だったのだが、この技を初めて観た時は「面白い入り方をするもんだな」と妙に感心してしまいました。

普通のキルスイッチとは比べ物にならない落差で、顔面を押し潰されてしまった原田は、完全にKOされてしまい 正しく誰もが納得する一撃でしたが、小峠がこの技を繰り出す最初の相手に、原田を選んだのには大きな意味が有ったと思います。

 

勿論NOAHに移籍して来た以上は、GHCJr.ヘビー級王座奪取は悲願なので、それを達成する為には、出し惜しみしていられないと言うのは、有ったと思いますが、それでも「相手が原田だったから」

これが大きかったと思います。

1年違いで大阪プロレスでデビューを果たして、桃の青春タッグで活躍して 1年違いでNOAH移籍・・・これまで似た様な道を辿って来た2人とは言え、そこには大きな違いが有ります。

 

先輩であるにも関わらず小峠が、未戴冠の大阪プロレス王座を原田は奪取。

先にNOAHに移籍をした小峠が、未戴冠のGHCJr.ヘビー級を原田が奪取。

一年とは言え先輩・後輩の間柄であり、タッグを結成していながらも常に小峠の一歩先を歩いていた原田。 小峠からしたらこれが悔しくない筈は無かったでしょう。

 

そんな状況下での原田のGHCJr.ヘビー級王座への挑戦となったからこそ、これまでずっと遅れを取って来た小峠の意地が、大爆発したのでしょうね。 

その一ヵ月後に行われたリマッチでも、同じ様に小峠がオーバーキルスイッチで勝利したのですが、滅多に出さない奥の手をこの短期間で同じ相手に2度も出したと言う事は、小峠にとって原田大輔は、やはりそれだけの相手だったから。

 

大阪プロレス時代からの2人の関係を知ってる人からすれば、当然の事かも知れませんが、やはりこの2人の関係は熱い。

お互いの事を知りつくしている2人だからこそ、闘いも極限まで高められオーバーキルスイッチの様な超大技まで、飛び出て来る死闘になる訳ですよね。

 

小峠が滅多に出さないオーバーキルスイッチを最も出すに相応しい相手と言えば、原田大輔を置いて他に居ないのでしょう。