棚橋弘至のフライングスリングブレイド

自分の得意技を 雪崩式や断崖式にしたり、ジャンプを加えたり、リストクラッチにするのは、プロレス技では、良くある事です。

  

棚橋弘至の得意技スリングブレイド

他の形に応用するのは、なかなか難しそうな技ですが、実はコーナー最上段からダイビングして仕掛ける形のフライングスリングブレイドと言う物が、短い期間でしたが、存在していました。

 

フライング○○ ダイビング○○と言う技名は、プロレス技に置いては、通常はフライング式がその場飛びで、ダイビング式がコーナーから飛ぶ事なのですが、この技に関してはコーナーから飛んで来るのに、何故かダイビングスリングブレイドじゃなくて、フライングスリングブレイドになっちゃっています。

 

棚橋弘至が2006年に考案した物ですが、正調スリングブレイドが飛びつきながら、空中で相手の首を支点に腕を絡めて旋回すると言う技だけに、それをダイビング式で決めると言うのは、それだけで格段に難易度が上がる技になってしまいます。

コーナー最上段から飛びつくのだから、勢いが付いている状態で空中で相手の首に腕を巻き付けながら旋回すると言う行動自体が、まず無理があるだろうし、仮に成功したとしても、正調版ほどスムーズに技が決まらないと思われます。 

 


開発者の棚橋が、完璧に決めた事が一度も無く 完成形を誰も観た事が無いと言う有る意味 幻の技。

実際に初公開は、タッグマッチでトラヴィス・トムコに決めた物ですが、正直 微妙でした・・・


IWGPヘビー級王者決定戦での、ジャイアント・バーナード戦でも決めましたが、旋回しきる前に着地してしまい、引っ掛かった腕で強引に倒す形になり、これまた微妙でした・・・


G1クライマックス公式戦での中西学戦でも決めましたが、更にグダグダな技の気まり具合で、着地から完全に強引に押し倒しただけで、結局ジャックナイフで無理やり押さえ込むと言う フライングスリングブレイドは、全く意味の無かった勝ち方で、やはり これまた微妙でした・・・

 

やる度やる度 明らかな失敗をしてしまい、微妙な技と印象づけてしまい、どんどんドツボにハマって行ったように感じます。

何せ初公開が、比較的 一番マシな気まり具合だったんですからね。

 

暗黒期から、どんなにお客さんが少なくても、どんなにブーイングを浴びようとも 決して心が折れずに信念を貫いてきた棚橋弘至ですが、さすがにフライングスリンブレイドに関しては、心が完全に折れてしまったようです。

二度と使わなくなりました。

正確には心が折れたと言うよりは「あの技は出来ない!」と気が付いたんでしょうか?

 

まあ技の説明を聞いただけで、難しい技だというのは分かるので、出来ない技は最初からやらない方が良かったと言う事ですね。

頭の中ではイメージは出来ていたんでしょうが、実戦で何度か使用してみて思っていたよりも やたら難しかった事に、気が付いたんでしょう。

 

今では、絶対にやらなくなりました(笑)